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このエッセイをすでに読む必要のない方々へ(2)
柳家小志んの「噺家渡世の余生な噺」 第2回
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深川江戸資料館 小劇場で行われた「柳家小志ん独演会 」での一枚
言葉の矢は、届かぬところへ
前回の稿から1ヵ月が経った。何がどうして、思いがけず多くの反響をいただいた。正直な話、これまで自分で書いてきた文章に、そこまで反応が返ってきたことはなかった。だからこそ、これはもう話楽生Webのおかげだと、率直に思っている。土台がしっかりしているというのは、こういうことを言うのだろう。
もっとも、執筆当初は、そんな未来など想像もしなかった。だから、例によって少々ひねくれた性分が顔を出し、あろうことかサブタイトルに「このエッセイをすでに読む必要のない方々へ(1)」などと添えてしまった。
何人かの方からは、「なんとも辛辣ですね」と、丁寧ながらも驚きの声をいただいた。あれは読者を遠ざける倒置法、そんなつもりではなかった。逆に惹きつけるつもりの倒置法であったのだ。
まあ、言い訳しても仕方ない。もう走り出してしまった列車は止まらないし、それが自分の書き癖なのだと受け入れるほかない。