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阿修羅
林家きく麿の「くだらな観音菩薩」 第2回
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お気軽に話しかけてください
で、私が今回、何を言いたいかと言うとですね、「好きなだけに、切なくなることがある」ってこと。
皆さんには、噺家の落語を聞いて面白いと思ったら、「こんなこと言うのは生意気だよな」などと思わずに、褒めていただきたいのです。特に二ツ目さんや若手の真打さん、あ、ちなみに70代でも若手と言い張る師匠は沢山いるので、何処までが若手なのかはお任せします。決めるのは、貴方たちです!
もちろん、お客様ですから、駄目だった時に「面白くなかった」と言ってもいいですよ。いいですけどぉ~、言われた噺家から巻き爪の呪いがくることもあるので気を付けてくださいね。
私は、貶された時も素直に受け止める性格なので、いつでもどんと来いです。一週間くらい落ち込むけど、全然気にせずに言ってくださって構いませんので、つまらなかったら言ってくださいね。部屋の隅にこもって体操座りをして、爪を噛み続けて指先が血だらけになるけど。
……て言うか、ごめんなさい、嘘言いました。お腹が出てるから、体操座りができません! お腹が出ると体操座りができなくなるって、かなりショックですよ。お腹まわりが気になっている方やってみてください、落ち込みますから。
あと、もう一つ嘘を言いました。褒められるのが好きなので、可能な限り褒めてください。お願いします。やっぱり芸人(当社比)は、褒められるのが大好き。褒めてもらえると自信にもなりますから、どんどん褒めてほしいです。
正直な話、認められること、承認欲求というのは少なからずあるもので、先日、喬太郎師匠が「今、面白い人を呼んで二人会をする」と言われて、福岡に呼んでいただいたんです。あー、嬉しかったです。「面白い人」と言ってもらえたことが嬉しいですよね。認めてもらえてるってことですから。
ですから、落語会の打ち上げなんかで、直接会える時は褒めてください。売れっ子になったら、気軽に会えないかもですよ。そう!まさに興福寺の阿修羅様のように!