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私が思う「落語界とお笑い界の違い」(前編)
ピン芸人・服部拓也の「エンタメを抱きしめて」 第2回
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出番前の動き
お笑い芸人は、基本的に開場の1時間以上前に開場入りし、ネタのキッカケ(照明、小道具、音響のチェックなど)のリハを行います。特にキッカケがない漫才師でも早めに来て、仲間と情報交換や近況の話をします。
まれに早く来てゴキゲンで仲間と雑談し、本番ではほとんど喋らず、打ち上げでまたゴキゲンに仲間と喋って帰る生き物もいます(笑)。
私がお世話になっている「カフェコマド」で落語会を始めた当初、出番直前に来て、そのまま約30分近い高座を務め上げ、しっかりと盛り上げる落語家さんを観た時、率直に「スゲー!」と思いました。
初めて来た会場がどんな空間であっても、いきなり本番で出て行って、高座の広さ、座布団のフカフカ具合、天井の高さ、客層、お客様との距離など、全部がちょうど良いチューニングでハイパフォーマンスされている落語家さん。
それを観て、私たちが「ライブ会場に早めに来ていた、あの時間は何だったんだ!?」と思いましたが、落語家さんは割とギリギリに来るのが普通のようで、そういう文化なんだと知りました。そんな「パッと出て、ドッと盛り上げて、サッと帰る」みたいな動きに、個人的な憧れがあります。
例えば、私が格闘家だったとして、試合の何時間も前に会場に入って、ロープの位置やマットの弾力、客席との距離、勝利時のマイクパフォーマンスの音響と照明をさんざん確認して――秒殺される(笑)みたいにスベッた経験から来る憧れなのかもしれません。
そういった会場の空気や小道具、音、照明などを入念に仕込んだコントが一切ウケなかった夜は、1杯目から「魔酒」を飲んでます(笑)。
だいぶ話が逸れましたね。そんな経験も後日、笑いのネタにできるので素敵な世界だと思います。