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私が思う「落語界とお笑い界の違い」(前編)

ピン芸人・服部拓也の「エンタメを抱きしめて」 第2回

宣伝の仕方

 ここ十数年、SNSの普及でネットでの宣伝が落語界もお笑い界も増えたと思いますが、私は落語界の「チラシ宣伝文化」がすごく好きです。

 カフェコマドの落語会では毎回、演者さんが多数のチラシを持参し、折り込みを依頼されます。

 私もカフェコマドのイベントチラシを毎月、何百枚と刷って、打ち上げ終わりの誰もいないお店で指サックを付け、夜な夜な「お袋の内職」のように一人でも多くの方に興味を持っていただけるように念を込め、折り込み作業に没頭しています。

 私は、その作業を「家事サック」と呼んでいますが、その結果、お客さんが一人でも多く来てくれたら、イェイイェイ!な訳です。

 また話が逸れましたが、チラシというアナログな現物の強さ・宣伝エビデンスが好きです。各々のポスターデザインはもちろん、素材、質感、持参してきた方のストーリーが詰まっています。

 そのため、私はその日、出演される方には、「ほかのイベントにも折り込むので、宣伝に協力させてほしい」と伝え、多めにチラシをいただきます。デジタルを駆使しながら、アナログでもきちんと知ってもらう努力をしないと人は来ないと思います。

 私がお世話になった人気も実力もある先輩芸人は、とんでもない数のライブのチラシを毎月、様々なライブで折り込み、後輩と飲みに行ったついでに「若手のライブにも入れてほしい」とお願している姿を何度も見ました。

 とにかく宣伝できる場を活用して知ってもらい、満席にする。正直、そこまでしなくても集客できる人気も実力もある方でも謙虚に集客を徹底している姿勢に感銘を受けました。