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あふれる情熱と笑顔 神田鯉花(前編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」第4回

鯉花が描く人間の光と影

鯉花 「水戸黄門記」です。悪い奴らをやっつけて、ワッハッハ。それに子どもが親を助けてチャンチャンって終わるという展開が多く、ひと言で言えば「良いはなし」。悩ましくもあり、どうしたってドラマのイメージが強い話ですが、子どもが聞いてもわかりやすいですし、だからこそ聴き手にその楽しさが伝わるようにどう読んでいくか。年齢を重ねていけば読み方も味わいも変わるのかなと思います。

 ただ、今は読んでいて楽しいことは間違いありませんが、一方で難しいなと思いながら、ゆっくりゆっくりブラッシュアップしながら、ちょっとずつ作品を育てながら読んでいる、私にとって希望のあるネタです。

鯉花 「柳沢」は自分の性に合っていると思います。良いはなしも好きですが、人間のほの暗い部分が「柳沢」には描かれていて、ものすごく興味深い。

鯉花 今は形を合わせようとしている。最後まで全部読み終えたら、腹に落ちてカチッとハマるかな、わかってくるのかなと思っているんです。

鯉花 師匠にネタを選んでいただくのが本当にありがたいですね。「水戸黄門記」は全22席。上・下で分ける回もあるので、細かく数えると24席。また最近、師匠から「四谷怪談」の『お岩誕生』をいただきました。以前から『お岩誕生』がやれればいいなと思っていたので、最近になって教えてもらえてうれしかったですね。『番町皿屋敷』も読んでいますが、もう少し遊べるかなと思いながら、毎回読んでいます。

神田鯉花の高座姿(墨亭・提供)