あふれる情熱と笑顔 神田鯉花(前編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第4回
- 講談
瀧口 雅仁
2025/06/27
師匠の芸に魅せられて
鯉花の「水戸黄門記」の楽しさは、そのテンションの高さで聴き手を引っ張っておきながら、一気に聴き手を話の舞台へと誘い、登場人物の姿を確と描き出す講談特有の地の文に、人物の様子を導き出す会話文の巧みさにある。そこに読み手の思いや考えというスパイスが加えられるが、そのスパイスが芸と年齢を重ねていくことで、どんな味わいになるのかが楽しみである。
― 鯉花さんにとって、そんな神田松鯉先生の好きな演目はなんですか。
鯉花 やっぱり『笹川の花会』です。聴いていて自然と涙が出てきました。身震いもしました。それまで「良いお客さんでいなきゃ」と思っていたのに、心から「弟子になりたい」と思った自分にビックリしました。でも理屈じゃ止められないんですよね。入門のお許しが得られて本当に良かったです。
あと特に思い入れがあるのが『扇の的』。バイトしている合間をぬって夢中でずっと聴いていました。夜中まで働いて、片付けを終えて、そのあとにまた聴く。元気が出て、気持ちがいい。師匠の声って素晴らしんですよ。グイッと引っ張っていく声で、ドッシリとして深い声ではあるんですが、温かみのある声なんです。
そうそう、始発の電車に乗る時も聴いていました。バイトは辛いことも多かったんですが、辛い気持ちがどっかに行っちゃうんです。
松鯉一門の必須講談というべきなのが連続物。鯉花が挙げる演目のほか、「天保水滸伝」に「徳川天一坊」、「宮本武蔵」に「赤穂義士伝」。それらを連続で聴かせる腕も必要だが、物語のエッセンスが詰まった一場だけを読む腕も求められる。今「水戸黄門記」をはじめとした連続物を前に、鯉花は一場一場の魅力に迫るように読んでいる。
― 現時点で、鯉花さんが大好きな一席を選ぶとしたら、どんな話になりますか。
鯉花 悩みますね、その時々で変わりますから……。今は『隆光の祈り』でしょうか。話が入り組んでいるので、難しいと言われることがありますが、真打になった時に売り物にしたい一席です。ドロドロしてますけど、講談の面白さが詰まっていて、やっていて楽しい。
呪い殺そうとしている場面はおっかないですが、最終的には悪い奴に勝つので、ある意味、縁起が良い気もします。それにマンガみたいに絵が浮かんでくる話なので、口慣れてきて、さらにそういったところが描ければ、楽しい話になるはず。この話は特に貫禄がなければいけないと思いますし、何とか説得力が出るように、ブラッシュアップしていきながら読んでいきたいと思っています。
(以上、敬称略)
(後編に続く)
―― こちらもどうぞ。瀧口雅仁「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」連載一覧
いま読まれています!
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「お恐れながら申し上げます」 第5回
新年のご挨拶
~落語家のお正月は案外、いつも通り
入船亭 扇太
2026/01/11
月刊「浪曲つれづれ」 第9回
2026年1月のつれづれ(追悼 名人・伊丹秀敏)
~もっともっと聴きたかった
杉江 松恋
2026/01/09
月刊「シン・道楽亭コラム」 第9回
昭和101年に寄せて ~落語は新しい!!
~落語を未来へ手渡す人々
シン・道楽亭
2026/01/10
「令和らくご改造計画」
第五話 「ヨセジャック事件」
~落語家にとってのマクラとは何か?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/12/12
「令和らくご改造計画」
第一話 「危機感をあなたに」
~笑撃のストーリーが今、始まる!
三遊亭 ごはんつぶ
2025/08/12
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第8回
〈書評〉 香盤残酷物語 落語協会・芸術協会の百年史 (神保喜利彦 著)
~「見えない序列」の正体
杉江 松恋
2025/12/24
「座布団の片隅から」 第9回
大河
~『べらぼう』が残していった、噺家への置き土産
三遊亭 好二郎
2026/01/07
「オチ研究会 ~なぜこのサゲはウケないのか?」 第9回
不動坊、抜け雀、七段目
~「てっぺんから落ちたな」「いいえ、七段目」
林家 はな平
2026/01/06
「令和らくご改造計画」
第二話 「集まれ! 蘊蓄おじさん」
~落語の未来を守るため、前座が立ち上がる!
三遊亭 ごはんつぶ
2025/09/12
月刊「シン・道楽亭コラム」 第9回
昭和101年に寄せて ~落語は新しい!!
~落語を未来へ手渡す人々
シン・道楽亭
2026/01/10
「お恐れながら申し上げます」 第5回
新年のご挨拶
~落語家のお正月は案外、いつも通り
入船亭 扇太
2026/01/11
月刊「浪曲つれづれ」 第9回
2026年1月のつれづれ(追悼 名人・伊丹秀敏)
~もっともっと聴きたかった
杉江 松恋
2026/01/09
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「座布団の片隅から」 第9回
大河
~『べらぼう』が残していった、噺家への置き土産
三遊亭 好二郎
2026/01/07
「二藍の文箱」 第8回
麹町の雑煮、目白のおせち
~噺家の正月風景
三遊亭 司
2026/01/02
「朝橘目線」 第9回
来る春や 妻啼き我の 目は涙
~年男について調べてはいけない理由(妻が正解を知っている)
三遊亭 朝橘
2026/01/08
「オチ研究会 ~なぜこのサゲはウケないのか?」 第9回
不動坊、抜け雀、七段目
~「てっぺんから落ちたな」「いいえ、七段目」
林家 はな平
2026/01/06
古今亭佑輔とメタバースの世界 第7回
VR落語を始めて1年経った今
~余白を埋めるVR、余白に委ねる寄席
古今亭 佑輔
2026/01/05
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第8回
〈書評〉 香盤残酷物語 落語協会・芸術協会の百年史 (神保喜利彦 著)
~「見えない序列」の正体
杉江 松恋
2025/12/24
「講談最前線」 第12回
2025年12月の最前線【前編】 (「イベントスペース鈴丸」オープン、講談のオススメ入門書③)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2025/12/15
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第21回
日常を鮮やかに描く言葉の力 神田茜(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2025/12/29
「二藍の文箱」 第8回
麹町の雑煮、目白のおせち
~噺家の正月風景
三遊亭 司
2026/01/02
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第22回
日常を鮮やかに描く言葉の力 神田茜(中編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2025/12/30
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第23回
日常を鮮やかに描く言葉の力 神田茜(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2025/12/31
「講談最前線」 第13回
2025年12月の最前線【後編】 (2025年の講談界ニュース)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2025/12/17
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第8回
〈書評〉 香盤残酷物語 落語協会・芸術協会の百年史 (神保喜利彦 著)
~「見えない序列」の正体
杉江 松恋
2025/12/24
「浪曲案内 連続読み」 第8回
浪曲ほど素敵な商売はない
~芸を磨き、未来へ遺す
東家 一太郎
2025/12/22
月刊「シン・道楽亭コラム」 第9回
昭和101年に寄せて ~落語は新しい!!
~落語を未来へ手渡す人々
シン・道楽亭
2026/01/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
シリーズ「思い出の味」 第15回
水茄子とジンジャーエール
~夏の青臭さ、生姜風味の泡沫が映す情景
林家 彦三
2025/11/25
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第4回
上方落語大会議「なんぼでなんぼ」
~苛酷な仕事、ギャラなんぼやったら行く?
桂 三四郎
2025/10/24
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
「令和らくご改造計画」
第五話 「ヨセジャック事件」
~落語家にとってのマクラとは何か?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/12/12
月刊「シン・道楽亭コラム」 第7回
シン・道楽亭、誕生前夜から今へと続くキャリー・ザット・ウェイト
~すべては菊太楼師匠との駄話、駄飲みから始まった
シン・道楽亭
2025/11/13
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第7回
ビールの秋、日本酒の秋、わたしの美が深まる秋
~浪曲師の日記が、ここまで笑えていいんですか!
東家 千春
2025/11/03
「マクラになるかも知れない話」 第三回
となりは鼻うがいをする人ぞ
~ねぇママ、パパは何をしているの?
三遊亭 萬都
2025/10/22
「くだらな観音菩薩」 第6回
鑑真和上
~そう、諦めちゃあいけないんだ
林家 きく麿
2025/10/16
編集部のオススメ
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第21回
日常を鮮やかに描く言葉の力 神田茜(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2025/12/29
「浪曲案内 連続読み」 第8回
浪曲ほど素敵な商売はない
~芸を磨き、未来へ遺す
東家 一太郎
2025/12/22
「くだらな観音菩薩」 第8回
弥勒菩薩(半跏思惟像)
~地球滅亡の時に現れるスーパースター
林家 きく麿
2025/12/16
「講談最前線」 第12回
2025年12月の最前線【前編】 (「イベントスペース鈴丸」オープン、講談のオススメ入門書③)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2025/12/15
「令和らくご改造計画」
第五話 「ヨセジャック事件」
~落語家にとってのマクラとは何か?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/12/12
「オチ研究会 ~なぜこのサゲはウケないのか?」 第8回
にらみ返し、大工調べ、短命
~私の落語家人生を延命してくれた、喜多八師匠
林家 はな平
2025/12/06
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第8回
今日は宇宙一の美が誕生した日
~読むと元気になる千春ワールド!
東家 千春
2025/12/03