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暑いので!

シリーズ「思い出の味」 第9回

ふたたび大盛り

 マイトコロテンブーム、どこで区切りを付けて読んでいいか分かりづらいブームが過ぎ、たまに買うくらいになってから数年後。

 ネットでなんとなく見た情報。「寒天を売ってくれる問屋さんが水天宮にある!?」。気が付くと自転車を漕いで駅に行き、電車に乗って水天宮に来ていた。

 「お店の幟(のぼり)が出てるからココかな?」

 普通の家っぽいところを恐る恐る開けてみると、お店の方が出てきてくれまして。

 「あの、何か?」
 「あの、寒天」
 「あー、どうぞ!」

 そうです。あまり寒天を買わなさそうなオジサンがふいに入って来たので、不審者と思われていたのです。自分ではよくあることなので、気にしてる場合ではありません! 寒天を売ってくれるんですよね!?

 大きな入れ物に、寒天の固まりがありました。巨人が食べる大きさです。トコロテンと寒天は、それぞれ大・中・小で選べますとのことなので、私は迷わず「両方とも大で」。そして、わらび餅もあるのでこちらも記念に。

 するとお店の方が長年使っているであろう、木でできたトコロテンと寒天をそれぞれの切る道具で、巨人用の固まりを細かくしてくれます。

 「カッコいいー!!」

 プロのだ!プロのヤツだ! 仕事だ! 仕事人のヤツだ! さすが問屋さんだね、お豆腐やさんでやってもらうトコロテンを突くヤツより大きくて「コーン!」って鳴るぞ!

 なんかオシャレな店で「自分でトコロテンを突きますか?」とかいうのをやってみて「ムニムニ」って出て来て微妙な気持ちになるのと訳が違うぞ! おー、やってみたいな! モチロン言えないぞ!