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そして現実へ

柳家さん花の「まだ名人になりたい」 第4回

課金の果てに出会った愛

 そのクレジットカードは学生の頃、「家庭教師のバイトをしないか」と大学内まで勧誘の人が来て、自分の学力を棚に上げ「ぼく、先生になれるの!? かっちょいー!」と馬鹿丸出しで応募すると、アルバイトをするならカードがあった方が便利だからと言いくるめられて作ったカードです。

 学生の頃、ハマったゲームに学生の頃、作ったカードで課金する。何か見えない力を感じますね。カード会社さんは利便性だけでなく、ノスタルジーまで与えてくれる。

 ところで課金額20万円ではまだやり足りなかった私は、夜中の3時に近所のコンビニへ「グーグルプレイカード」5万円を買いに行き、一枚では足りず何往復もして、その日だけで40~50万円ほど課金しました。コンビニの店員さんは中東系の外国人でした。「止めてやりたいが、何と言えばいいかわからない」という目で私を見ていました。

 あの目を私は忘れない……。

 そうして手に入れた装備で、意気揚々とゲームの中を闊歩(かっぽ)していました。ゲームの中には一緒に敵を倒すグループがあり、「この課金額50万円の勇者が入ってあげますよ、庶民のみなさん!」と言わんばかりに入ると、月に2000万円も課金する方がいて、私は50万の装備を着ながら2000万にヨイショする哀れな幇間(ほうかん)となりました。

 ちなみに、その話を自分の勉強会のマクラで話すと大半のお客さんは引いてましたが、中にはその哀れさに引っ掛かった奇特な女性がいて、後日その人と結婚しました。