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そして現実へ

柳家さん花の「まだ名人になりたい」 第4回

ゲームがあれば

 8月1日は私の誕生日です。

 子供の頃の私にとって誕生日とクリスマスは、ゲームソフトを買ってもらう日でした。生まれてきた奇跡やその歳まで生きられた幸運、また育ててくれた親への感謝、クリスマスならサンタを信じる気持ち。サンタを信じる気持ちってなんだ? サンタを信じたらオモチャをくれるのか? ともかくそんなことはどうでもよく、ゲームの日なわけです。

 むしろ祝ったり、感謝したり信じたりなんてゲームに対して邪(よこしま)です。親とサンタには、わきまえてもらいたいものです。

 あとゲームがもらえると言えば、私が小学生の頃、父親のパチンコについて行くとパチンコに勝った日はその出玉をゲームソフトと交換してくれました。だから今でも、父とパチンコが大好きです。

 ただパチンコに負ける父は許しません。父を勝たせないパチンコもたいがいですが、まだパチンコ屋はやっているのに「今日はついてないや」と出ようとする父の背中ほど、情けなく頼りないものはありませんでした。

 ここまで読んで、「そんなに好きならゲーム製作者になればいいのに」と思う方もいるかと思いますが、それは違います。遊ぶからゲームであって、作って売ってお金を稼ぐのではゲームでなく、仕事をしているだけです。

 本当にゲームが好きなら、作る側にまわることはないと思います。