松鶴、鶴光、羽光、羽太郎の四世代の飲食
シリーズ「思い出の味」 第10回
- 落語
笑福亭 羽光
2025/08/04
刺身三点、気づかい百点? ~緊張する師匠との食事
大阪に里帰りしていた時……であるから、私が二ツ目になってすぐの2014年(平成26年)頃だろう。師匠が出演する落語会が京都であった。上方落語協会の師匠方がたくさん出られるので、僕も勉強に行った。
終演後、その日の出演者だった桂春若師匠と師匠が飲みに行くことになり、僕も誘っていただいた。自分の師匠とそういう経験があまりないので、立ち居振る舞いを迷ったが、飲み物を僕がまとめて注文して、食べ物のメニューを春若師匠と師匠に見せた。
「何がよろしいですか?」
「お前に任せる!」
数人で居酒屋に行く時の定番である、サラダ系と焼き鳥盛り合わせ、刺身を注文する。師匠がニコやかに「あんまり高いもん頼みなや!」と僕に言う。冗談か本気かわからない。刺身の七点盛りを頼もうとしていたが、思わず三点盛りに変更した。
春若師匠や師匠のグラスが空くタイミングで、僕も飲み干し、次の飲み物を注文する。師匠方が箸をつけた料理は僕も食べても良いだろうと判断し、揚げ出し豆腐を春若師匠が1個、師匠が1個つまむと、あと残り2個は僕が食べるという具合に、かなり食べた。
最初は、もっと遠慮して春若師匠と師匠が食べた量だけ僕も食べ、あとは食べずに二人の会話を聞きながら皿を見つめていたら、師匠が「これ、お前、全部食べていいで」と言ってくれ、それからは春若師匠と師匠が手をつけた物は全て食べつくした。
かなり満腹になり、美味しかった。
緊張しながらも食を楽しめる自分自身が楽しかった。今のところ、僕は師匠から飲食に関して怒られたことはない。本当は気を悪くされているが、僕に伝えていないだけかもしれないが。
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