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オシャレだね その一言が 聴きたくて(前編)

三遊亭朝橘の「朝橘目線」 第4回

結論、男のオシャレとは

 また当時は、吉祥寺にある床屋で散髪していた。前述の髪質の私は、とにかく短髪でないと始末に負えない。美容院より床屋さんの方が自分に合っているのではと、吉祥寺の床屋さんを見つけて行ってみた。悩みを相談した結果、お勧めされたソフトモヒカンにしてみた。良いと思った。やっと、自分に合った髪型を見つけたと、長い漂流生活が終わったような気持ちでいた。

 その後、ある一門の先輩が陰で「あの髪型はねえよなあ」と酷評していたことを耳にした。せめて直接言ってほしかった。ちなみにその先輩からは、私の指を見て「お前の指はモテない指だ」と、わりと混んでいる京浜東北線の車内で言われたりもしている。つり革持つ手を外して思わずじっと見たが、どの辺が原因かわからなかった。

七五三の時。隣は弟。やはり自分は
 和装が合う人間らしい

 2016年末に結婚して以来、自分で服を選ぶことはやめた。全て妻の言いなりにしている。コロナ禍の最中に床屋も変えた。今の髪型は非常に気に入っている。その床屋も、妻の勧めで行った。

 モヒカン時代に妻と出会っているが、その頃の私を「トサカみたい、よくそんな髪型するね」と思っていたらしい。寄席のお囃子のお姉さんからも、「前は変な髪型だったよねえ」と後から言われた。服選びも大概だが髪に関しては、面と向かって言えないくらいの腫物扱いだったらしい。私はもう、見た目のオシャレを自分でどうこうするのは諦めた。

 だが、オシャレそのものを諦めたわけではない。

 私の見出した結論は「服や髪型は女のオシャレ。言葉選びは男のオシャレ」。

 次回へ続く。

(毎月8日頃、掲載予定)