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オシャレだね その一言が 聴きたくて(後編)

三遊亭朝橘の「朝橘目線」 第5回

オシャレだね その一言が 聴きたくて(後編)

子どもの送迎からお仕事まで、何でもござれの万能コーデがこちら

三遊亭 朝橘

執筆者

三遊亭 朝橘

執筆者プロフィール

娘たちの生まれながらの演技力に驚く毎日

 「女の子は生まれながらに役者だから」

 娘が生まれてから、何人かにそんなことを言われたことがある。現在6歳と4歳の娘二人を育てる父親として、それが真理であると実感している。

 母親に叱られた長女が私の元へ駆け寄り、抱っこをせがむのでそっと抱き上げたら耳元で「パパだけ好き」と言われた時には、一体どこで誰に教わったのかと、舌を巻いた。遺伝子にもう組み込まれているんだろうか。

 そして「美」を追求することへの目覚めが早い。男兄弟だけで育ってきた自分にとって、娘の成長は驚きの連続である。

 朝、娘たちはお出かけ前に髪を結んでもらうと、鏡の前に向かう。ポーズをいくつか変えて今日のコンディションを確かめる。私にも見ろと要求する。褒めると満足する。まあ楽しそうだから良いんだけど、それより早くハンカチを入れて靴下を履け、とつい思ってしまう。

 子どもの頃、自分の姿をそんなに鏡で見ていた記憶がない。今は一応、身だしなみという観点で鏡を利用はするが、ひげの剃り残しはないか、目ヤニがついちゃいないか、鼻毛は……という確認作業であって、自分にうっとりタイムには決してならない。

 最近は、どの服を着るか、子どもたちが自ら選ぶようになった。


 「今日は、〇〇コーデだから」

 いっちょまえのこと言うなあ、と微笑ましく思う。

無難な服はなぜ増える? 男のファッションに潜む心理

 それに引き換え、自分はというともうここ最近、ずっと白Tシャツと黒のボトムだ。私だけじゃない、その組み合わせの男性はめちゃくちゃ多い。自ら望んでというより、周りを見てそれが良いのかな、という感じで着るようになった。

 この現象は、何なのか。

 外見的な評価は、すごく乱暴な表現をすると「キモい」か「キモくない」か。この評価軸で決まるんだと思う。「清潔感」という、分かるようで分からないあの指標。これも同じことを指している。

 男性が清潔感を担保するためには、短髪の方が手っ取り早いはず。なのに、長髪でも大丈夫な人がいる。それはその人が、髪が長くてもキモくないから。

 短くてもキモい、これは前回に述べたソフトモヒカン時代の私である。マニュアルや理屈を超越したところに「キモい・キモくない」軸が存在する。生理的な反応なんだと思う。

 そしてそのセンサーは、男性より女性の方が圧倒的に感度が良い。その点において、見た目のオシャレの構築は、女性の方が絶対に上手い。これはもうしょうがない。