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2025年9月の最前線 【後編】 (宝井小琴の二ツ目昇進、神田鯉花の結婚/講談入門② ~入門書編[1])

「講談最前線」 第8回

講談入門② ~入門書編[1]

 各芸能には「入門書」とされる著があるが、講談となると皆無に等しい。

 ちなみにここで言う「入門書」とは、講釈師になるためにはどうしたら良いかという本ではなく、講談という芸を観賞するために、手始めにどうしたら良いかを知ることのできる類の本のことである。

 本来であれば、講談を楽しみたいのであれば、まずは聴いてみるのが一番!であるのだが、それでは乱暴なアドバイスになってしまうので、ここでは講談を聴く前の下調べとして、基本的なことは知っておけば、それに越したことはないという一冊を挙げることにする。

 それが大研究 落語と講談の図鑑である。その目次から内容を示すと、

・講談ってどんなもの?
・講談から生まれたヒーロー
・話の種類
・決めゼリフを読んでみよう
・講談師の着物と道具
・講談の動き
・講談の歴史
・講談師になるには

 と、「講談入門」に近いあれこれを紹介しており、おまけに「講談師になるには」も紹介している。

 講談編の監修者は、現・講談協会会長の宝井琴調(落語編は、桂扇生)。対象者が小学校高学年から中学生に向けての実用書であることから、総ルビであり、難解な言葉に迷わされることも少ない。

 また、『寛永三馬術』『左甚五郎』『大岡政談』『那須与一扇の的』といった有名作品が取り上げられ、寄席の高座でも聴くことの多い話の「一場面を読んでみよう」というコーナーでは、イラストやマンガ、そして写真も多く用いられているので、作品に容易にアプローチすることができる。

 「講談の歴史」などでも、難しい言葉を並べずに、「講談のはじまり」「町人も聴けるようになった町講釈」等々、各項目が200字前後で説明されているのも嬉しい。

 講談に関する基礎知識から、有名な話のあらすじ、実際に声に出して読んでみようというチャレンジページと、聴講の第一歩に最適な一冊としておススメしたい。〈次回、入門書編[2]に続く〉

(以上、敬称略)

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  • 書名 : 大研究 落語と講談の図鑑
  • 編集 : 国土社編集部
  • 出版社 : 国土社
  • 書店発売日 : 2016/08
  • ISBN : 9784337279230
  • 判型・ページ数 : A4判・80ページ
  • 定価 : 4,180円(本体3,800円+税10%)

(毎月13日頃、公開予定)