五劫思惟阿弥陀如来

「くだらな観音菩薩」 第5回

考えるほど、髪の毛が増える?

 そして、今回の仏様は、実際に“五劫(ごこう)”の時を考え続けたと言われる阿弥陀様。五劫思惟阿弥陀如来(ごこうしゆい あみだにょらい)様です。

 このコラムを読んでくれている方は、ご存じだと思いますが、五劫とは『寿限無』に出てくる「五劫の擦り切れ」の五劫です。「3000年に一度、天女様が大地に降りてきて、衣の裾(すそ)で岩を撫でる、その摩擦で岩がなくなることを春風亭一劫と言う」という、恐ろしいグラインダーのような衣の裾をお持ちの天女様を褒め称える、五劫です。

 この仏様の凄いところは、五劫の時間、考えごとをしていたので、頭の毛がモリモリになっているところです。最初に見た時は、おじさんがスーパーカブに乗る時に被る“顔出しヘルメット”かと思いましたが、そうじゃないんですよね。

 仏様の髪型は、螺髪(らほつ)といって、巻貝のようにくるくる巻いているらしいのですが、それが均等にバイーン!とアフロヘアーみたいになっているんですよ。

 例えば、「女優の松下由樹さんが均等に大きくなられて、素敵女子界の“UFO戦士ダイアポロン”と呼ばれる日は近いでしょう」と、松下由樹さんのファンクラブのおじさんたちが酒を酌み交わすみたいな感じと思っていただけると、わかりやすいのではないでしょうか?

 とても長い間考えごとをしている様子を、頭をデカくすることで表現したのは面白いですよね。時間の経過をどう表すか、少し皺(しわ)を書いたとか、ちょっと猫背にしてみました、じゃなくて、髪が伸び続けて、それだけ考えごとをしていたんだよ、と表現したんですもんね。

 しかも「みんなが幸せになるにはどうしたら良いのか、こんなに髪が増えるまで考えたんだよ!」と言われると、「ありがたや、ありがたや」と手を合わせずにはいられないじゃないですか。噺家全員の幸せを考える、落語協会会長みたいなもんです!

2026年に放送50周年を迎える『UFO戦士ダイアポロン』!
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