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四合目 ~京都漫遊記 〈弐〉

「伯知の日本酒漫遊記 ~酒は“釈”薬の長」 第4回

♪カッパッパーが止まらない!

 寺田屋見学からテクテクと歩いて行くとすぐに目の前に現れるのが、あの黄桜(きざくら)が運営する「キザクラ・カッパカントリー 黄桜記念館」。黄桜の酒の直売所とレストラン、黄桜の酒造りに関する資料展示がある、黄桜本店の蔵を改装して開いた、まさに黄桜の酒テーマパークである。

黄桜製品ラインナップ

ジオラマ劇場「昔の酒づくり」

 黄桜の酒造りの工程をじっくり勉強しながら進むと、直売所と中庭。黄桜のCMでお馴染みのカッパの銅像がお出迎えである。ちょうど利き酒ができるというので早速、お姉さんに頼んで一杯試すことにした。

 黄桜は慣れ親しんだお馴染みの酒という感じはあるが、もちろんご当地ならでは、季節ならではの酒もたんとある。しかも暑い最中、青空の下でカッパを眺めながら(!?)呑む酒というのも良い体験な訳で……。

左から「純米にごり酒」「しぼりたて純米吟醸」「涼の足音」

左から「龍口水 洛伝」「ひやおろし純米酒 坤滴」「しぼりたて大吟醸」

 ズラリと並んだお酒のうち、選んだのは直営店限定の山廃 本醸造生原酒「涼の足音」。ラベルからして夏らしく涼しげで最高である。ミニカップになみなみ注がれたのをキュッと呷(あお)れば、染み渡る甘味とスッキリさ。

 「花見、月見もそうだけど、野外で飲む季節酒って最高だよな……」

真夏に黄桜のカッパ像を眺めながら冷えた一杯

 調子に乗ってあと2~3杯……とも思ったが、まだまだ見て回らねばならぬ場所が沢山残っている。惜しい気もしつつ、とても美味しい和らぎ水を口にして、まだ見終わっていないもう一棟の建物、資料館へ足を踏み入れた。

 そこには、黄桜のCMに関する歴代の資料を観ることができるギャラリーで、色っぽいあの清水昆(しみずこん)先生、小島功(こじまこお)先生のカッパさんたちがズラリ。奥では歴代CMの映像が流れているのだが……

 ♪
 カッパッパー ルンパッパ~
 ポンピリピン のんじゃった

 楠トシエさんの歌声が館内に響き渡り、エンドレス。ボタンを押すと一定時間流れる映像展示なのだが、途切れない。なぜかと見れば、家族で来たのであろう幼児が、初めて耳にするであろう、♪カッパッパーに大ハマりのご様子。「カッパッパー カッパッパー」とケラケラ笑いながら飛び跳ねて、映像が終わると繰り返しボタンを押して楽しんでいたのである。

 (わかる、わかるよ……お姉さんもね……キミと同じ歳くらいのころ、『クイズところ変われば!?』観てると、このCMが流れてて、よく歌ってたわ……)

 歳がバレる思い出ではあるが、酒がちょいと入った所へさらに懐かしさが込み上げて、シミジミしながらさらに奥の部屋へ。「酒造りの解説に、直売所、CMの展示……。もう充分な気がするけど、他にまだ何か展示する物ってあるのかね?」と疑問を抱きつつ足を踏み入れると……そこには、さらに驚きの展示が待っていたのである!

「ちょいとお見せ……是は妙な物を彫って来たね、何かい矩随(のりゆき)さん、これは河童かい」
「左様でございます」
「変な図を彫って来たね。能く一口に河童が丘へ上がったやうだというぢゃねえか、それを實地(じっち)に彫って来るといふのは面白いな。けれども何だね、矩随さん、此の河童は変な河童だね、エゝ形は兎も角、面は河童といふ面ぢゃァないな、狸ぢゃないか」

寶井馬秀『浜野矩随』