NEW

こしらGPT師匠に、「同じ落語をなぜ何度も聴きたくなるのか」を聞いてみた

「教えて! こしらGPT師匠」 第5回

先が分かるからこそ、面白くなる

――なぜ何回も聴いても、飽きないんでしょうか?


 「何度も聴いたら、さすがに飽きない?」
 これもよく聞かれる。

 答えは、むしろ逆だ。
 落語は、先が分かっているからこそ面白くなる。

 初めて聴くとき、客は筋を追うだけで精一杯だ。
 登場人物は誰で、今どんな状況なのか。
 物語を理解することが、鑑賞の中心になる。

 二回目、三回目になると、見えるものが変わってくる。
 ここで間を取るのか。
 この台詞、そんな言い方をするのか。
 今の沈黙、長い……いや、ちょうどいい。

 内容を知っているからこそ、噺家の技がはっきり見えてくる。
 落語ファンは、いつの間にか「話を追う人」から「味わう人」になっていく。


 これは音楽に近い。

 名曲を何度も聴くのは、メロディを忘れたからではない。
 そのときの気分や年齢によって、響き方が変わるからだ。

 落語も同じ。
 噺が変わるのではなく、聴き手の受け取り方が変わっていく。