毎日映画、毎日浪曲

「コソメキネマ」 第九回

#本日の浪曲

 浪曲界に入る前、14~15年前だと思いますが、浪曲を聴き始めた頃、今ほど演者本人がネットやSNSで発信することもなく、浪曲会の情報を入手しにくかった印象があります。浪曲の世界に入ってからも、年齢の高い師匠方もいらしたこともあり、チラシでしか情報の出ていない浪曲会などもよくありました。

 私は元々チンドン屋なので、宣伝のために情報を伝えることに興味があります。情報を知って来ないのは構わないけれど、知らないで来ないのは残念だなぁ思っていました。

 ふと「名画座かんぺ」の浪曲版みたいなことができないかと思いました。紙のものが良いとは思うけれど、紙で作るのは自分の能力と面倒くさがりの性格では無理だろうと思っていた頃。

 現在でも、毎週火曜日開催されている浪曲火曜亭に、当時は終演後にお客様と出演者とお茶を飲みながら、話をする茶話会というものがありました。その時に、80代くらいのお客様から「小そめさんのツイッターは、浪曲情報が載っているからよく見てるよ」と言っていただきました。

 前座の頃から、SNS等の書き込みは師匠から許可をいただいていたので、師匠の浪曲会や、面白そうな企画公演やあまり情報が出ていなさそうな浪曲会情報なども、自分のアカウントに上げていました。割と浪曲のお客様は年齢の高い方が多かったので、ツイッター(現在X)はあまりご覧にならないかなと思いながら上げていたので、見てもらえていたのかと、少し驚きました。

 それなら、ツイッターで情報流すのもありかもと思い、自分のものとは別に「本日の浪曲」というアカウントを作り、その日の浪曲会の情報を流すということを始めました。

 時間と場所、出演者にチラシ画像くらいの簡単な情報でしたが、始めてみるとこれが手間がかかり、なかなか大変。

 チラシに会場名しか載っておらず、情報を探しまわったり、誤字脱字のご注意を受けたり、浪曲の先輩から「本日の浪曲やってるの小そめさん?」と見抜かれたり(公にはしていませんが、隠してもいませんでしたが)、浪曲会を見に来てほしいという依頼に、「すみません、関係者なので~」というお断りをしたこともありました。

 3年くらい続けたところで、忙しくなったのと、宣伝する方も増えてきたので終了いたしました。どのくらいの宣伝効果があったかは謎ですが、短い文字数でどういう情報を入れるか、という訓練にはなった気がします。

 終了した後、浪曲ファンの方から「本日の浪曲」を続けても良いですかという有難いお申し出をいただき、現在も続いています。

 こちらがそのXアカウントです。

クリックすると、Xに移動します

chaconne0430(@chaconne0430)

 フォローしていただくと、浪曲情報と可愛い犬の写真が見られます。以前は浪曲情報しか載せておられなかったのですが、ある時から可愛い愛犬の写真が載るようになり、癒されます。

 ちなみにこの「中の方」、師匠の港家小柳を聴くために“小柳休暇”を取ったほどの筋金入りの港家小柳ファンで、川上アチカ監督に「港家小柳を観るべき」とチラシを渡した方です。

 もし、このことがなければ『絶唱浪曲ストーリー』という映画が作られることも、師匠の映像がこんなに残ることもなかったかと思います。深い感謝の気持ちと共に、小さな偶然が重なって色々なことが動いていくのだなと思います。

(余談ですが、お会いした時に「犬の写真を載せるようになって、ツイートが人間らしくなったって言われてましたよね~」と言ったら、「それ、小そめさんが言ったんですよ」と衝撃の返答が! 自分の忘却力と口の悪さに驚きました。こんなにお世話になっているのに~本当にすみません!)