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講談界を駆ける一鶴イズムの継承者 田辺銀冶(中編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第25回

名前は背負うものではなく、育てるもの

銀冶 そうですよ! これはいい名前なの(笑)。この名前を付ければ、人の心に届く講釈師になるし、いい仕事も山のように入るし、講談の世界で大看板になれるっていう名前を付けてもらったんですから(笑)。

銀冶 まったくありません。名前を継ぐことに興味がない。「一鶴」というのは凄い名前で、師匠だからこそ名乗れる名前です。だから名乗りたいという人がいれば、その人がなればいい。私はこの「銀冶」という名前をとっても気に入っているので、初代として、この名前を大きくしたいと思っています。

銀冶 今思えば、最高の師匠でした(笑)。私にとって残念だったのは、再入門して4年ぐらい前座時代を送ったんですが、その間、くすぶっていたので楽しいことがなかったんです。希望を持って戻って来たのに、講談界のムードに飲み込まれてしまって、その間に師匠が亡くなってしまった。

 師匠にはずっといてほしかった。努力家で、研究熱心で、面白くて、やさしくて、「辞めないでお休みしなさい」という言葉は、今でも感謝しています。あの言葉があったから戻ってこられたんですから。

田辺一鶴オンステージ(2009年2月10日亀戸カメリアホール)のために撮影したポートレート(提供・田辺銀冶/撮影・森山越)

銀冶 そうですね。私、海外から戻って来た時に、師匠に「海外でも講談やったのか」と聞かれて、「はい」って嘘をついてしまったんです。今は海外に講談をやりに行きたいですけどね(笑)。今、講談に熱中している状態で、師匠に色んなことを伺ってみたかったという思いは強いです。

銀冶 「人の真似も、俺の真似もするな」ということです。悩みますよね。どうやったらいいんでしょう。師匠、教えてくださいよ!