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〈書評〉 〈声〉の国民国家 浪花節が創る日本近代 (兵藤裕己 著)

「芸人本書く派列伝 クラシック」 第10回

ロジックを超える、声の魔力

 リテラルなもの、すなわち文脈の論理を読む文化ではなく、オーラルなもの、感情を揺さぶる〈声〉であるものは、ロジカルなものを超越した力を持つ。

 昨今の活字文化を凌駕するほどにネット文化の隆盛した現在、本書で兵藤が明らかにしたことを今一度、顧みる必要がある。先の衆議院選挙に見られたような、大きな声を挙げる者が小さな抗議を無視できるほどの権力を持つ時世が到来したことを思うと、〈声〉による国民国家の再編が起きることは否定できない。

 浪曲という文化を愛するからこそ、本書を興味深く再読した。2026年の今だからこそ、読まれるべき本だと思う。

(以上、敬称略)

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  • 書名 : 〈声〉の国民国家
  • 副題 : 浪花節が創る日本近代
  • シリーズ : 講談社学術文庫
  • 著者 : 兵藤裕己(ひょうどうひろみ)
  • 出版社 : 講談社
  • 書店発売日 : 2009年10月15日
  • ISBN : 9784062919661
  • 判型・ページ数 : 文庫判・288ページ
  • 定価 : 1,056円(本体960円+税10%)

(毎月29日頃、配信予定)

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