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からかさに 隠れて見たる 娘かな
「朝橘目線」 第11回
- 落語
三遊亭 朝橘
2026/03/08
それにしても、傘というものはあれ以上、のびしろは期待できないのだろうか。だいぶ昔からあの感じだと思う。手に持ってさす。形もほとんど変わらず。落語にも出てくる。昔から骨は骨、紙は紙、バラバラになって焚き付けにされている。『パタリロ』という傑作漫画で、ある若い発明家が傘に代わる雨避け装置を開発する話があった。それを身につけ駆動させると、下から上に強い風が吹く。この風圧で雨を弾き飛ばす、濡れずに済むというもの。重さ数十キロ。「傘を持ったほうが楽じゃないか?」と一瞬で欠陥を指摘され、発明家が崩れ落ちる。あれを読んだのはもう何十年も前なのに、未だに印象に残っている。それだけ私が、傘の現状に納得していないんだと思う。
傘が風でお猪口(おちょこ)になっても折れない骨とか、進歩はしていると思うが、まだまだ問題が多い。まず手が塞がる。折りたたみ傘でも、使う時は持つしかない。骨や柄が細いし、形状的に風を受けやすいから、すぐに壊れてしまう。そしてやたらと盗まれる。傘立てに置くのは怖い。それで屋内に持ち込むための「傘袋」が用意されるが、あれがどうしても好きになれない。入れる時、必ず途中で蛇腹になる。使い終えた袋を入れるゴミ箱は、大概どこもあふれ返っている。美観を損ねること甚だしい。ビニールでふわふわするから、押し込んでも戻る。そもそもあの袋が無料だったら、レジ袋もタダでくれたって良いのに、それは有料なのが解せない。
雨具に未来はないのだろうか。もっと根本的な変革の時は来ないのか。ドローン傘とかできないかな。頭上で傘型に開いて浮遊する感じの。それなら両手が空く。人とすれ違う時、お互いのドローンがぶつからないよう、斜めになるところとか見てみたい。だがそれでも問題は残る。まず高い。傘のように安価ではない。使用中に故障で止まると、頭に落っこちる。すごく痛い。それと屋内に持ち込むとなると、「ドローン袋」が必要になる。傘より大きい袋になると思う。出入り口の、使用済みドローン袋用ゴミ箱の惨状が目に浮かぶ。押し込んでも戻る。そして絶対盗まれる。
やはり現状、傘が最適解なのかもしれないが、あきらめきれない。先日の長女の傘大破。傘も娘もかわいそうだった。何とかしてやりたい。雨天に限り、登下校時はお父さんが同行する、というのはどうだろうか。傘は私がさす。不審者からも守れる。でもそんなことしたら娘が、お友だちに笑われるかもしれない。年頃の娘はそういうのに敏感だ。嫌われるのは避けたい。となるとやっぱり……尾行するしかないか。そうしよう。どうせお父さん、暇だし……。
傘に 押わけみたる 柳かな(からかさに おしわけみたる やなぎかな)
――松尾芭蕉
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