からかさに 隠れて見たる 娘かな
「朝橘目線」 第11回
- 落語
三遊亭 朝橘
2026/03/08
そんな「渡辺家のラスカル」こと私も、冬場の皿洗いは大嫌いだ。乾燥による手荒れに毎年、苦しめられる。指のたった一か所が切れているだけで、洗い場が拷問室になる。手荒れ防止には、お湯ではなく水で洗い物をするほうが良いらしいが、寒い冬にくそ冷たい水で洗い物なんてとんでもない。洗い物をするたびに「春よ来い」と心底思う。
手荒れがピークを過ぎた頃、花粉症で目がかゆくてどうしようもなくなる。まさに今、これを書いている私がその状態だ。鼻水も湧き水のごとくあふれ出る。花粉症が終わると、梅雨が来る。気圧のせいで頭が痛くなる。梅雨が明けると、猛暑でぐったりする。残暑を乗り切ると大概、ハウスダストアレルギーで鼻がやられる。そしてまた、冬が来る。寒くて買い出しに行けない。手も荒れる。四季折々の彩りで、ダメージを食らう。人は弱い。
幼い娘たちの送迎を、私がすることも多い。もういい、わかった。俺が暇だからだよ! もうすぐ長女は小学生、そうなったら自分で登校するのかと思うと……不安しかない。近年の治安の悪化は、親として非常に恐怖を覚える。従来のルールでは、子どもを守り切れない時代なのではないか。小学生だって、親が送迎しても良いと思うが、現状それは認められていない。過保護で結構、『親ばか』でもなんでも、子どもの安全より大事なものはない。尾行したい。どうせお父さん、暇だし……。
先日、子どもを幼稚園にお迎えに行った日は、あいにくの雨だった。我が家のある地域は、ビル風なのか、わりと強めの風がいつも吹いている。娘二人は傘をさしたが、私は念のため持ってきていた、雨合羽(あまがっぱ)の使用を勧めた。それでも娘たちは傘を選んだ。嫌な予感しかしない。
信号待ちの交差点で、塊のような風が吹いた。咄嗟(とっさ)に傘で守ろうとするのは仕方ない。長女お気に入りの、可愛い傘が大破した。傘の骨が顔に当たったり、体が飛ばされて交通事故など、最悪の被害がなくて本当に良かった。園帽子も飛ばされなくて助かった。風に舞う帽子ほど、人を翻弄するものはない。雨具を着てとぼとぼと歩く長女は、ひどく落ち込んでいた。帰宅してすぐ、テレビをつけてヒーターの前で寝転んでだらだらしてくれて安心した。もう少し、執着しても良いと思うんだけど。

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