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2026年3月のつれづれ(玉川太福の受賞、玉川奈々福の徹底天保水滸伝、『深夜食堂』&『陰陽師』の浪曲化)

月刊「浪曲つれづれ」 第11回

 文化庁管轄では以前、芸術祭各賞が存在していた。これは期間を設けて、その中で実施された公演に対して評価が行われるものだ。浪曲界でも多くの受賞者がいるが、2022(令和4)年度の贈賞を最後に実施されていないので、現時点では芸術選奨が全国的な知名度のある公的な賞としては唯一ということになる。

 今回の受賞は浪曲界にとって大きな栄誉である。特に、独演会ではなく通常の定席が評価されたことに意味がある。私も2025年1月下席には足を運んだが、柳亭小痴楽をはじめとする若手真打たちが太福の初主任を盛り上げようとしているのがよくわかった。寄席興行はチームプレイだから、周囲の引き立てが肝腎なのである。玉川太福も落語芸術協会に所属した現役浪曲師の第1号として、恩返しができて安堵した気持ちなのではないだろうか。

 講談・落語と並び称される芸ではあるが、浪曲には二者と違った文化があり、特に看板ごと、お家ごとの芸という性格が強い。だからチームプレイを望むのは筋違いかもしれないが、今回の太福の受賞がヒントとなって、浪曲興行にもいい影響があるかもしれない。それをぜひ期待したい。

 昨年11月の豪華浪曲大会は、進境著しい国本はる乃がトリを務めた。こうなると今年は、受賞記念で玉川太福が上がるしかないだろう。浪曲ファンは、スターが斯界を牽引してくれることを心から期待している。

古典はもちろん、『男はつらいよ』シリーズ、『地べたの2人』シリーズなどの新作浪曲でも客席を沸かせる(提供・日本浪曲協会)