NEW

2026年3月のつれづれ(玉川太福の受賞、玉川奈々福の徹底天保水滸伝、『深夜食堂』&『陰陽師』の浪曲化)

月刊「浪曲つれづれ」 第11回

玉川奈々福、「笹川の花会」に挑む

 同じ玉川の話題でもう1つ。

 すでに先月の本連載でも報じたが、玉川太福の姉弟子である奈々福が、浅草木馬亭で開催している「徹底天保水滸伝」、2月20日の第2回において「笹川の花会」を口演したのである。ネタ下ろしであった。

「笹川の花会」は、二代目玉川勝太郎の「利根の川風袂に入れて」に始まり、「と言うて鰯の子ではない」で締める外題付(げだいづけ:プロローグ)で有名な演目である。侠客もので知られる玉川勝太郎一門でも天保水滸伝は別格である。その中で「笹川の花会」は至宝と呼ぶにふさわしい。現役浪曲師でも玉川一門以外は手掛けないし、たとえば太福も演じるが、お家の外題中ではそれほど回数は多くないのではないだろうか。

 それに玉川奈々福が挑戦したというのは大きな出来事だ。奈々福は自身が女性であるということを配慮して、侠客伝を演じるのにも限界があると過去には口にしている。たとえば清水次郎長伝でも通常口演するのは、女性の活躍がある「お民の度胸」のみである。天保水滸伝でも平手造酒(ひらてみき)を主役とする「鹿島の棒祭り」や「平手の駆け付け」は持ちネタにしているが、それ以外はほとんど口演していなかったように思う。