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第八話 「酔っ払いにSNS」

「令和らくご改造計画」

#3

 そんなことを考え、例によって楽屋の隅で頭を抱えていると、背後から声をかけられた。

 「兄さん」

 振り向くと、そこにいたのは、前座の絡繰亭おち太(からくりていおちた)くんだった。彼は、これまで、この連載で何度も騒動を起こしてきた人物である。

 「……おち太。まだこの業界にいたのか」

 思わずそう言ってしまった。

 彼は少し困ったように笑った。

 「実はですね、兄さん。僕、自分が何をやったのか、あんまり覚えてないんです」

 どうやら、これまでの事件の間の記憶がないという。そうした精神状態なども考慮され、重い罪には問われなかったらしい。

 幸いにも甚大な被害者が出なかったため、今は前座として復帰しているという。

 「……気がついたら、大変なことになっていたんです」

 その言い方は、まるで自分の意思ではなかった、とでも言いたげな響きだった。

 僕は少し引っかかりを覚えたが、深くは聞かなかった。

 すると彼は、急に目を輝かせた。

 「兄さん、僕ついに開発しました」
 「……何を?」

 恐る恐る尋ねる。

 すると彼は、得意げにスマートフォンを取り出した。

 そして言った。

 「これです」

 第八話 「酔っ払いにSNSを」――