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第八話 「酔っ払いにSNS」

「令和らくご改造計画」

#4

 「呼気センサー付きスマートフォンです!」

 おち太は、そう言って胸を張った。

 「呼気センサー?」
 「はい。呼気でアルコールを検知する機能を付けました」

 彼は工業高校出身で、こういう装置を作るのが得意なのだ。

 以前、寄席に落とし穴を仕掛けた人間だったので、また何か妙なものを作ったのではないか、と心配したが、今回に関しては、杞憂だったのかもしれない。

 「それでですね、兄さん」

 彼は続けた。

 「酔っ払いが操作すると、センサーが感知して、強い電流が流れるようにしたんです」

 僕は思わず顔をしかめた。

 「……電流?」
 「はい。酔った状態で操作しようとすると、ビリッと来る仕組みです。しかもかなりの電圧。気絶するかもしれません。……これをすべての落語家に持たせましょう」

 ──そして、なぜかこの案が協会に通ってしまった。

 どうやら酔っ払いツイート問題は、以前から協会でも問題視されていたらしい。

 こうして「呼気センサー付きスマートフォン」が、協会命令で全落語家に配布されることになった。

 だが、結果は予想外だった。

 酔っ払った落語家は、電流ごときではびくともしなかったのである。

 ビリビリと高圧電流に耐えながら、相変わらず意味不明なツイートを投稿してしまった。

 そこまでして何を書きたいのか。

 例えば、こちらを見ていただきたい。

 これは、高圧電流に耐えながら投稿されたであろう、とある人気真打の投稿だ。

 「おれもっと仲間つるんだ気いつまぱいあったんも
 んー!
 みんなの忙し上がりうらやましい!
 三丁目パンクさせようぜ!みいさんな!おい!
 おめえっち!!!」

 投稿時刻は、深夜2時。

 高圧電流に耐えながら、必死に何かを書こうとした様子が窺える。そこまでして、一体何を伝えたかったのだろうか……。

 そんな様子を見て、おち太は言った。

 「電圧を上げましょう」

 しかし、これ以上電圧を上げると人間が死んでしまう可能性があるということで、その計画は中止された。