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手紙 ~拝啓、四十八の君へ~

「噺家渡世の余生な噺」 第11回

二、役に立つということ

四十八歳の男とは、
もっと人様の役に立つ立場にいるものだと、若い私は思っていた。

同級生はそれなりの役職に就き、
かつての同僚はさらに後輩のために頭を下げる立場にあり、徳を積んでいる。

同年代の噺家の中には、弟子を取り、立派な“師匠”になっている者もいる。

肝心の私はどうだ。

いまだに、皆様に支えられる側にいる。

私の会のために頭を下げ、来場を呼びかけてくださる方。
チケットを売ってくださる方。

そのたびに胸の奥から感情が込み上げ、涙が溢れる。

生活のためでもある各地での月例会でも、

「毎月の楽しみです」
「この地で続けてくださり、ありがとうございます」

そんな言葉をいただく。

顔を出すだけで、喜んでくださる人がいる。
本来なら、こちらが礼を尽くす立場であるのに。

もっと実力があれば。もっと知名度があれば。
恩返しの形も、もう少し華やかであったろうに。

そう思い、布団をかぶり、
早く深い眠りに落ちることを願う夜が幾度もある。