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〈書評〉 サライ 2026年4月号 (大特集:落語 講談 浪曲 サライの「演芸」 令和の名人)

「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第11回

もっと聴いてみたい二葉

 まず落語家である。名前が挙げられているのは順に、春風亭一之輔、柳家喬太郎、桂二葉、柳家三三、三遊亭兼好、三遊亭白鳥、立川談笑という方々である。

 このうち年季がもっとも若いのは桂二葉だが、2021(令和3)年のNHK新人落語大賞受賞で一気に全国区の知名度を誇るようになり、東西の落語界を代表する若手となったのはご存じの通り。私は生で聴いた回数が少ないので二葉については評するのを控えており、記事になってから興味津々で読んだ。

「演じるのではなく、その人物に入り込みたい」「納得できひんようなセリフが出てくると、言われんへんなとなる」という述懐になるほど、と思う。そういう姿勢であったか。私は、初めて聴く落語家に興味を覚えるとき、その人の言語感覚にまず注目するのだが、以下の「胴乱の幸助」に関するくだりがおもしろかった。

 自分で納得して喋る、の次元が文法的解釈に踏み込んだ形になっている。上方言葉のニュアンスではこうだからと説明されるのではなくて時制の問題になっているのが、このことについてよく考えた形跡を感じさせて興味深かったのである。こういうことを言われると、もっと聴いてみたい、という気持ちにさせられる。