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地獄

「座布団の片隅から」 第12回

運転手 「えー、本日は○○ツアーにお越しいただき、ありがとうございます。はいー。○○交通の××です。本日の天気は晴れ。途中休憩を挟んで、4時間程度の予定です。はいー。安全運転に努めて参ります」
客一同 「パチパチパチ(拍手)」

 自然と出る拍手。両国寄席の客席よりも温かい空気である。よし、出発のアナウンスも終わったし、スキー場まで寝よう。目を閉じて、眠ることにした。

好二郎 「zzz……」
運転手 「いやー、今日は良いお客様ですね。はいー。拍手いただいてすごくやる気が出ますね。はいー。この間もこんなことがあって、はいー。あんなことが起きて、はいー。私はこう思ったんですね、そしてこれが……」

好二郎 「……」
運転手 「あとは、○○○、×××、△△△、なんてことがありまして、はいー。○○○、□□□……」

 な、なんということだ! バスの運転手さんの喋りが終わらない!! めちゃくちゃ喋る!!!

 そう、このバスツアーは、まさかの、運転手さんの漫談つきだったのである! インカムを使って、ほぼオンステージで一人漫談するので、まったく安眠できない!! だからこんなに安かったのか!?

 タクシーの運ちゃんとかならこのパターンあるけど、バスの運転手では初めてだ……。思わず、小はだ兄さんと歌彦さんと目が合った。ちなみに、㐂いち兄さんはもう爆睡している。なんなんだ、この人。

 もちろん、運転手さん本人に悪気はない。楽しい旅にしようとサービスでやってくださっている。ただ、僕が落語家なのがいけないのだ。根が真面目なので「ここはこうすればウケるのに!」「あー、その言い方もったいない!!」と心の中で添削してしまうので、それが気になって眠れない。

 なんで落語家が4人も乗っているバスの運転手さんが、こんなにお喋りなんだ!