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2026年3月のつれづれ(玉川太福の受賞、玉川奈々福の徹底天保水滸伝、『深夜食堂』&『陰陽師』の浪曲化)

月刊「浪曲つれづれ」 第11回

2026年3月のつれづれ(玉川太福の受賞、玉川奈々福の徹底天保水滸伝、『深夜食堂』&『陰陽師』の浪曲化)

芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した、玉川太福(提供・日本浪曲協会)

杉江 松恋

執筆者

杉江 松恋

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浪曲界では3人目の快挙! 玉川太福に芸術選奨新人賞

 今月の浪曲界は、この話題を抜きには語れない。

 玉川太福が令和7年度(第76回)芸術選奨文部科学大臣新人賞(大衆芸能部門)を受賞したことが3月2日に報じられたのである。受賞理由は、2025(令和7)年1月下席での主任興行が評価されたとのことで、浪曲師で初めて新宿末廣亭のトリを取ったという歴史的偉業が評価された形だ。

 芸術選奨文部科学大臣新人賞は文化庁が主催するもので、現在の形になったのは1968(昭和43)年の第17回からである。過去には1991(平成3)年度に太田英夫(二代目東家浦太郎)が、2000(平成12)年度に国本武春が受賞しており、浪曲界では3人目の快挙ということになる。

 太田英夫は歌手の坂本冬美と同時受賞である。『月刊浪曲』107号によれば、本来は1名だけのはずが、特別に2名が推薦されて受賞に至ったという。毎月、葛飾区金町で開き、100回を超えていた「太田英夫の会」、隔月で開いていた「太田英夫努力会」の2つと、口演していた「王将一代」「忠太郎月夜唄」「恩讐藤戸渡り」「桃中軒雲右衛門・桃源の風雲児」が評価されたという。ちなみにこの年、同世代の二代目玉川福太郎が文化庁芸術祭賞を受賞している。国本武春が大衆芸能部門で受賞を果たした2000年度には、ほかに松たか子も新人賞を授与されている。

 芸術選奨には他に文部科学大臣賞があるが、こちらは浪曲界の受賞者は2名のみである。最初に受賞したのは1994(平成6)年の二代目春野百合子で、「高田馬場」ほかの公演が評価され受賞している。2023(令和5)年に二代目京山幸枝若が「天保水滸伝・笹川の花会」ほかの公演が評価されて受賞を果たした。偶然ながら両者とも関西の大看板である。

1979年8月、新潟市に生まれる。2007年3月、二代目玉川福太郎に入門。2019年2月、落語芸術協会に加入(提供・日本浪曲協会)