2025年10月の最前線 【前編】 (神田紅佳インタビュー)

「講談最前線」 第8回

2025年10月の最前線 【前編】 (神田紅佳インタビュー)

入門12年目の独演会に臨む神田紅佳

瀧口 雅仁

執筆者

瀧口 雅仁

執筆者プロフィール

 講談はいつも面白い。そして講談はいつも新しい――。
 講談の魅力って? 講談ってどこで聴けるの? どんな講釈師がどんな講談を読んでいるの?と、それにお応えするべく、注目したい講釈師や会の情報、そして聴講記……と、講談界の「今」を追い掛けていきます。(2025年10月の前編/後編のうちの前編)

一年の集大成! 紅佳の木馬亭での独演会に注目

 神田紅門下の神田紅佳が、今年も浅草・木馬亭で独演会を開く。この一年間の成果を高座で見せようという意気込みで、一昨年は入門10周年ということもあり、師匠である神田紅を、昨年は人間国宝の神田松鯉をゲストに迎えて開催した。

 3年目となる今年の会では、昼と夜の二部制で、昼の部は神田愛山、夜の部は天中軒景友を迎える。紅佳もまた新ネタを含め、この一年で固めてきた演目で勝負をする(昼夜で異なる演目を披露)。今回、どんな演目を用意し、どんなことを考えているのか、本人に尋ねてみた。

紅佳 木馬亭は浅草という江戸情緒も感じられてとても雰囲気が良いので、独演会をするならと思って選びました。昨年、開催してお客様が嬉しい顔をして楽しんでもらえているのを見て、今年も開きたいと思って決めました。

紅佳 今年もやるぞ!と決めた時、新しいことをやってみたいなあと思い、昨年は夜の開催でしたので、夜は来られないというお客様もいるので、思い切って昼夜でやろうと決めました。

紅佳 一昨年は師匠の紅、昨年は神田松鯉先生、今年は神田愛山先生と浪曲師の天中軒景友さん。これまで教えていただいた先生方にお声がけをさせていただき、自分も同じ高座に上がるのは気恥ずかしいですし、気後れすることもあります。でも、年に一度、尊敬する先生や憧れの芸人さんに声をかけられることができる、その緊張感がやる気に繋がるので、自分としては楽しみたいですし、嬉しい会です。