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煮物の記憶とイカの国

シリーズ「思い出の味」 第4回

今も大切な祖父母との思い出

 そんな祖母も、先日95歳で大往生を遂げた。晩年は少し認知症もあり、耳も遠くなって筆談メインだったが、それでも最後までかなりしっかり自分の意思を伝えていた。

 幼い私たちが遊びに行っていた、大きなカエルのいた家のこともよく話題に出ていたらしい。大きな思い出だったあの家の記憶の中に、私もいたなら嬉しい。

 祖母自身、よく食べる人だったのが長生きの秘訣だろう。特に甘いものと穴子のお寿司が大好きだった。死後の世界がどんな場所かは知らないが、祖父と一緒に好きなものをたくさん食べられるところだといい。

 とりあえず、イカ以外の食材があることを心から願っている。

(了)