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8/31は、野菜の日 →ミョウガ21本を食べた男の記憶
三笑亭夢丸の「エッセイ的な何か」 第3回
- 落語
落語『茗荷宿』のウソとホント
別に今のところ、健康被害がある訳ではないのだが、俗説で良く聞くのが「食べ過ぎると物忘れをする」。落語『茗荷宿』もそれがモチーフになっており、そこそこ知られている俗説だが、もちろん医学的根拠はない。
由来がこの落語のマクラで語られているけれども、改めて。昔々のインド。お釈迦(しゃか)様の弟子で周梨槃特(しゅりはんどく)という者がおり、とんでもなく物忘れが激しい。どれぐらい物忘れをするかと言うと、自分の名を問われて思い出せないほど。
そこでお釈迦様が一計を案じ、自分の名を大書きしてある幟(のぼり)を背負わせたという。この周梨槃特が立派な僧侶となった後に没して埋葬した折、その墓から生え来たのが謎の草。
はじめは槃特の墓から生えてきた草ということで『槃特草(はんどくそう)』と呼ばれていたが、次第に「名前を荷(に)なって歩いた」というエピソードから『茗荷』となった……らしい。
まあ、かいつまむと先述した通り、ミョウガを食べると物忘れするというのは迷信。それどころか、『ミョウガはショウガ科の植物ですが、あの香りと風味を出しているのはα-ピネンと呼ばれる精油成分が多く含まれているからです。この成分は食欲増進、発汗作用などがあるようですが、驚くことに脳を刺激し、逆に記憶力が向上するという話もあります。』(養命酒製造のHPより)
ミョウガ、無罪! ……まあ、だとしても一度に21本は食べ過ぎだと思うけれど。
しかし、そんな大量のミョウガを差し入れしてくれて、小助六兄さん一家の取り分は残るのだろうか……と心配していたところ、皆さん、ミョウガが苦手とのこと。まさに宝の持ち腐れ!
まあ、そのお陰で、僕は毎シーズン堪能させて頂いております。嗚呼、庭から好物が自生している環境というのは憧れるなぁ。どだい、僕の家には庭がないので無理な話なのだが。