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港家小そめの「コソメキネマ」 第4回

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桜町弘子さん主演、廓に住む人々の人生模様を描く映画をご紹介!

港家 小そめ

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港家 小そめ

執筆者プロフィール

名前の遍歴

 私の「小そめ」という名前は、師匠に付けていただいた芸名で、本名の下の名前は「祐子(ゆうこ)」と言います。

 偶然なのですが、102歳の曲師、玉川祐子師匠と同じ名前でございます。ちなみに祐子師匠のお名前は「玉川」も「祐子」も芸名です。

 命名した母によると、本当は「杏子」と付けたかったそうですが、当時は杏という漢字が使えなかったそうで、祖父が姉の名前を付ける時に候補に考えたものの中から選んだそうです。

 母は「みんなには京都の京でもいいじゃないと言われたけど、私はそういう適当なのは嫌だから、きちんと選んだのよ」と胸を張っておりましたが、おじいちゃんが姉のために考えた名前から選ぶのもまあまあ適当では?と正直思いました。

 そんな風に付けられた名前ですが、なぜかわかりませんが、家族内で全く定着せず、本名と何一つ被っていない「たんちゃん」というあだ名で呼ばれておりました。家族がそんな風なので、当然同級生や近所の人も祐子とは呼ばず、使われないまま、子供時代は過ぎました。

 その後、中学校、高校、短大も、しばらくいた劇団でも、なんでしょうか、あだ名を付けたくなる超音波でも出しているのでしょうか、その時々で、本名とは別の呼び名を付けられ、「祐子」と馴染まないまま、時は経ち、チンドン屋という職業に就いてから、ようやく本名で呼ばれるようになりました。

 と思っていたら、ここに来て浪曲界に入ることとなり、「小そめ」という名前を頂戴し、また「祐子」率が低めに。つくづく自分の名前と縁が薄いなと思います。