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日本とスウェーデンの四季

三遊亭好青年の「スウェーデン人落語家の不思議な旅」 第3回

今年もサンタ来るかなぁ

 日本では、冬と言えば大晦日、お正月が一番のメインイベントですね。スウェーデンではお正月よりクリスマスが大事となっています。

 クリスマスでは、家族、親戚皆が集まって美味しいものを食べ、プレゼント交換をし、ゆっくりと過ごします。特に、子どもにとっての最大の楽しみ、サンタクロースが来てプレゼントをくれるイベントが待っています。

 イギリスやアメリカでは、クリスマス・イブの夜にサンタが来て、クリスマスの朝に起きるとプレゼントが届いていることになっています。一方、スウェーデンでは、クリスマス・イブに、サンタクロースが子どもにプレゼントを持ってきて手渡します。

クリスマス時のウプサラ市

 大人であれば、サンタがいなくても家族のメンバーでプレゼントを交換しますが、子どもがまだ小さい頃は、サンタクロースのことをまだ信じていますので、サンタクロースの登場は重要です。

 こういう時には、誰かがサンタクロースの格好をし、プレゼントを配る役割をしなくてはなりません。隣人さん等がやってくれると、一番都合が良いのですが、場合によっては、子どものお父さんがやることになります。

 赤い服に白髭を付けると、子どもはまだ小さい頃、意外とお父さんだと気づかないものです。お父さんはサンタクロースが来る直前に「新聞、買ってくる」とか、どうしようもない言い訳をして出かけ、サンタに変装をしてからプレゼントを配ります。

 私服に着替えて、また家に帰ると「自分の留守の間にサンタが来て、すれ違いをしてしまったなぁ」ととぼけ、馬鹿馬鹿しいですが、何とも可愛らしい小芝居です。

 ところが、子どもが大きくなればもう簡単には騙されなくなり、すぐに白髭をはがして「お父さんだ!」と見破ります。「子どもが大きくなったんだな」と感じる瞬間です。

 こういうところも可愛らしいので、新作落語を作ってみました。クリスマスが近くなると披露する噺のため、出くわしたら聞いていただければと思います。

 今年の夏も大変暑いですので、皆様も日本の夏はどうぞお気を付けてお過ごしくださいませ。暑くなったら寄席に、お身体を冷やしに来てはいかがですか。

 冷やしはいいが、冷やかしはご勘弁を。

三遊亭好青年 毎月の公演情報

(毎月25日頃、掲載予定)