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講談への情熱は今も変わらず 一龍斎貞寿(中編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」第9回

講談への情熱は今も変わらず 一龍斎貞寿(中編)

貞心一門とともに。前列左から、貞奈、貞心、貞寿。後列左から貞司、貞介、貞昌(貞寿・提供)

瀧口 雅仁

執筆者

瀧口 雅仁

執筆者プロフィール

貞丈の名を未来へ

貞寿 「貞丈」という名前は、六代に渡って使用された名前なので、後世に残していかなきゃいけないということは重々承知しています。直弟子である、貞花先生やうちの師匠がお元気の間に、名前について所在等をハッキリさせてくださったらいいなと思っています。

貞寿 私が自ら手を挙げて「貞丈」という名前を継ぐつもりは、現在、ありません。ただ、私の「貞寿」という名前をつけてくださったのも大師匠(六代・貞丈)ですし、孫弟子の中で大師匠の元へ通っていたのも私だけです。五代・貞丈に憧れて講談師となり、六代・貞丈を知る最後の世代として、「一龍斎貞丈」の名を残し、忘れられないようにしたいという気持ちは、人一倍強いと思います。

貞寿 今年、講談協会は秋に披露目がないので、協会の定席の枠をお借りして、六代目の直弟子である「貞花・貞心二人会」を企画しました。お二人による兄弟会は初めての開催となりますし、「貞丈」という名前をお客様方にも思い出してもらえるきっかけになったらいいなと思っています。

講談ゼミナール誕生秘話

貞寿 師匠は今年、八十三歳。大変お元気ではありますが、弟子は五人。私の下は、二ツ目が二人、前座が二人、まだまだ手がかかります。「この年で前座二人、面倒見るのはつらい、貞昌を預かってもらえないか」と師匠に言われ、当人とも話をしたうえで引き受けることにしました。

 今、一門の弟子たちだけでなく、沢山の後輩たちが次から次へと師匠のところに話の稽古にやって来ます。師匠はいつも「俺も稽古したいんだが、時間がない」とこぼしていらっしゃいました。私が貞昌を引き受けることで師匠の助けになれるならばと思い、貞昌を弟子にすることにしました。

 師匠の講談を一番色濃く受け継いでいるのは私だと思っていますし、師匠の講談を確かな形で教えることができるのも私しかいないと思っています。貞昌にとっても、私は元々姉弟弟子ですし、師匠と私の言うことに大きな違いはないと思うので、あまり違和感なく修業できているのかな、と思います。

貞寿 会を始めたのは、コロナ禍でした。当時、私は配信などで何とか高座に上がることができましたが、師匠は講談を読む場がなくなり、弟弟子たちも勉強する場所がない。このままではマズイ!と思い、一門の勉強会を立ち上げました。

 師匠にとっては口慣らしの場、弟子にとっては師匠の話を聞き、月に一度、自分も高座に上がれる場を確保してあげたい、と思って企画した会です。だから私も含め、貞心一門みんなの勉強会。基本的に第一火曜日の昼間、らくごカフェで開催していますが、平日昼間にもかかわらず、大勢のお客様にお運びいただいております。今年で5年目になりますが、ここまで続けていけたのは、この会を楽しみに、足を運んでくださったお客様に支えていただいたおかげです。本当にありがたいです。