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四合目 ~京都漫遊記 〈弐〉

「伯知の日本酒漫遊記 ~酒は“釈”薬の長」 第4回

黄桜の酒蔵に潜むカッパの大王国

 カッパ、カッパ、カッパ……パネルに資料に人形にと、見渡す限り部屋ごと丸々、カッパ尽くしである。何でも全国各地のカッパの貴重な資料を集めた日本有数の「河童資料館」だそう!(確かに、よくよくホームページの説明を見ると、「お酒と河童のことなら何でもわかる黄桜記念館」と謳ってる)。

 妖怪や都市伝説も大好きな私であるが、お酒のことばかり頭にあったせいか、下調べでも「河童資料館」のことは、てっきり「清水崑小島功ギャラリー」のことだと思い込み、こんな妖怪大戦争な資料館だとは露知らず。とにかく展示は、カッパに関するもの凄い情報量。

日本有数の「河童資料館」なのである

 全国のカッパ伝説、呼び名の違い、祭り、カッパのミイラに、各地のカッパのお土産などなど……。角川ミュージアムの企画展「荒俣宏の妖怪伏魔殿」、北千住マルイの「都市伝説展」、境港や遠野などカッパを取り上げていた展示は数多く観てきたが、カッパ特化の展示でこれだけの情報量は初めて観たかもしれない。

 早速、妖怪好きの知人たちへ写真と共に「黄桜に大量のカッパ展示が!!」と即LINE。すると……

 「は? カッパの秘薬だけで、丸々一枚パネル使ってるの?」
 「カッパのミイラまで全網羅してる……こわ……」
 「おいおい、ケンムン(またはケンモン・奄美大島のカッパ)まで紹介されてるじゃないか!」

 妖怪好きと驚きと喜びを共有し、かくして、日本酒の酔いもすっ飛び、なぜかまさかのカッパ研究につい夢中になってしまった。

カッパ、カッパ、カッパ……カッパ尽くしである

 そのうちに見つけたのは、まつられている全国のカッパについての展示。そこに茨城・手接神社(てつぎじんじゃ)の説明があった。戦国時代、芹沢領主・芹沢俊幹(せりざわとしもと)が建てたカッパの祠(ほこら)が元となった、手の病気に効く霊験があることで知られている。

 この俊幹は、前回の記事で取り上げた新選組・芹沢鴨(せりざわかも)の遠い祖先でもある。さらに遡ると、常陸大掾(ひたちだいじょう)氏として、うちの先祖ともつながるという……。

 幕末ロマンと日本酒を求めてきたのに、まさかのカッパと笑っていたが、よくよく考えたら妙なところでつながって『きっとこれは、茨城のカモとカッパに呼ばれたのだ!』と無理やり思うことにしたのだった。

(以上、敬称略)

― 京都漫遊記 〈参〉に続く ―

キザクラカッパカントリー

黄桜株式会社(キザクラ・KIZAKURA)

東山酒造有限会社

(毎月1日頃、掲載予定)