一合目 ~日本酒飲みの生い立ち
「伯知の日本酒漫遊記 ~酒は“釈”薬の長」
- 講談
松林 伯知
2025/07/22
甘味に合わせる、キンキンに冷えた鶴齢。たまらない美味さ!
日本酒に魅せられた道楽者
自分は根っからの道楽者である。小さい頃から興味があるものにはひたすら夢中になり……かと思うと、パッと止めて、また違うものにすぐとりかかる。
良く言えば多芸多趣味、好奇心旺盛。悪く言えば浅学非才の飽き性。周りからよく「えっ、この間まで〇〇にハマってなかったっけ? なんで今△△やってるの?」と驚かれること、数多である。
古今東西、次々と色んなものにハマっては限界オタクと化していたが、不思議と長続きする趣味もいくつか見つけた。そのうちの1つが「日本酒」である。
飲んでよし、学んでよし、体調も良くなる、美肌に効く。一石三鳥の趣味なのである。
そもそも、日本酒にハマったきっかけが……
![]()
酒はもと薬なり
世はまた人の情なり
憂き世を忘るるもひとえに酒の徳とかや
~狂言『棒縛り』 より~
歴史学を学ぶため上京、大学に入学し、入ったサークルが狂言研究会だった。ちょうど映画『陰陽師』がヒットして、野村萬斎先生が各方面で大活躍中。
その萬斎先生が顧問、一門の狂言師の先生方が直々に稽古をつけてくれるという、なんとも豪華な本格志向のサークル。もとより歴史好きの身、「リアルな時代劇ができるかも!」と、演劇未経験、人前で話すことすらしない人間なくせに、大喜びで入会届を出した。
もちろん大学生で、サークルに入ったとなれば、飲みの機会も多くなる。その頃、自分は何を飲んでいたかというと……なんと、“カシスオレンジ”である。
「お酒飲んだことないから、甘いお酒飲んでみようかな~」と言って、初めに勧められたものをなんとなく飲み続けていた。別に可愛げのある女子大生を演じようと思っていたわけでもなく“なんとなくカシオレ”。
太郎冠者の酒盛りに挑むが……
ところが、そんなカシオレ女子を急ぎ卒業せねばならない事態が起こったのである。狂言『棒縛り』で、シテの太郎冠者(たろうかじゃ)を演じることが決まった。どえらい大役である。
それまで大名や主人、侍などお堅い役ばかり担当していたため、陽気な太郎冠者をやるのも初。棒に縛られた状態での謡(うたい)あり、舞あり、とにかく大変な曲なのだが、いくら稽古しても上達しない場面があった。

縛られた太郎冠者と次郎冠者(じろうかじゃ)が酒盛りをする場面である。美味い酒を盗み飲みして、酔いも回り陽気になったピークで、謡い、舞わねばならないのに、「……うーん、どう見ても正気なんですよ。酔って楽しそうに見えない」と、先生から指導が何度も入る。
これには困った。考えてみたら、酒をガバガバ飲んだこともなければ、酔ってへべれけになったこともない。何しろカシオレ女子なので。
「このままじゃ、例え縛られようが好きな酒を飲んでみせる酒豪の太郎冠者にはなれないじゃないか!」
「駄目なのだ、お洒落カクテルを飲んでいては。飲まねばなるまい、太郎冠者のように。そう、日本酒を!」
そのまま飛び上がって酒屋へ入り
安「酒を一升くれろ」
酒「へえ お入物は」
安「イヤ直ぐ飲むんだ」
酒「畏こまりました」
波ゞと一升桝へ注で出したを桝の隅からグゥーッと仰ッてしまッて
安「エーイ 代は其のうち」ト駆け出した。
~『赤穂義士十勇士伝』堀部安兵衛 より~
いま読まれています!
「くだらな観音菩薩」 第17回
善財童子
~自転車屋の陰謀から善財童子へ。妄想と悟りが交錯する、愉快な仏像コラム!!
林家 きく麿
2026/09/16
月刊「浪曲つれづれ」 第16回
2026年9月のつれづれ(奈々福がうなる日本国憲法、玉川太福と玉川祐子のテレビ出演、東家三可子・東家千春の挑戦)
~伝統を守りながら、変化する芸能の姿。浪曲の現在地を描く、月イチ浪曲レポート
杉江 松恋
2026/09/15
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第47回
女性講釈師の歴史をたどる
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/09/13
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「令和らくご改造計画」
第十四話 「踊る金持ちピエロ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/09/12
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
「噺家渡世の余生な噺」 第17回
苦しみを、人生の片隅へ
~それでも今日を笑って生きていく
柳家 小志ん
2026/09/14
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第15回
このまま宇宙一を名乗っていて良いのか?
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/07/03
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第14回
〈書評〉 たぶん、僕のジャム。 (金子学 著)
~中学校を舞台に笑いが連発する短編コント小説集!
笑福亭 茶光
2026/07/29
「令和らくご改造計画」
第十四話 「踊る金持ちピエロ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/09/12
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
月刊「浪曲つれづれ」 第16回
2026年9月のつれづれ(奈々福がうなる日本国憲法、玉川太福と玉川祐子のテレビ出演、東家三可子・東家千春の挑戦)
~伝統を守りながら、変化する芸能の姿。浪曲の現在地を描く、月イチ浪曲レポート
杉江 松恋
2026/09/15
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第47回
女性講釈師の歴史をたどる
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/09/13
「お恐れながら申し上げます」 第13回
深夜寄席が大変なことになっています
~新宿と復活した池袋、2つの「深夜寄席」が熱い!!
入船亭 扇太
2026/09/11
「噺家渡世の余生な噺」 第17回
苦しみを、人生の片隅へ
~それでも今日を笑って生きていく
柳家 小志ん
2026/09/14
「くだらな観音菩薩」 第17回
善財童子
~自転車屋の陰謀から善財童子へ。妄想と悟りが交錯する、愉快な仏像コラム!!
林家 きく麿
2026/09/16
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「艶やかな不安の光沢」 第4回
N氏の碑から浪江の海まで
~長崎の碧い海から、忘れられない故郷の海へ。喪失と希望のロードムービーのようなエッセイ
林家 彦三
2026/09/04
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「テーマをもらえば考えます」 第13回
フロートの向こう側
~テーマのクリームソーダにちなんで、いろんなお酒でフロート、やります!?
三遊亭 天どん
2026/08/31
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「令和らくご改造計画」
第十四話 「踊る金持ちピエロ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/09/12
「マクラになるかも知れない話」 第十三回
霊んメイカー2
~日常の些細なモヤモヤを、落語みたいに笑い飛ばしてくれる爽快エッセイ!?
三遊亭 萬都
2026/08/25
「ピン芸人・服部拓也のエンタメを抱きしめて」 第15回
揺れ動いた、30代最後・熊本での夏
~祭り、地震、再会、人の優しさ。この夏に見つめた、自分の笑いの原点とは?
服部 拓也
2026/08/28
「艶やかな不安の光沢」 第4回
N氏の碑から浪江の海まで
~長崎の碧い海から、忘れられない故郷の海へ。喪失と希望のロードムービーのようなエッセイ
林家 彦三
2026/09/04
「エッセイ的な何か」 第15回
あの夏の夜、前座たちは海を目指した
~師匠には内緒の、前座五人の小さな冒険。特別ではない一夜が今も心に残る、夏の青春譚
三笑亭 夢丸
2026/08/21
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
編集部のオススメ
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「令和らくご改造計画」
第十三話 「誰のおかげで」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/08/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第44回
情熱に出会い、魂を語る 神田紅(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/08/09
「座布団の片隅から」 第16回
別荘
~優雅な大人の夏休み……のはずだった。涼やかな高原の別荘での珍事件を綴る爆笑避暑日記!!
三遊亭 好二郎
2026/08/07
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第16回
まだ満足にビールが飲めていない夏
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/08/03
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25