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〈書評〉 若手だった師匠たち 年間1000席の寄席通いノートから(寺脇研 著)

「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第7回

一生を通じて

「東京かわら版」2025年11月号は「落語の良さ、面白さ」と題して柳家さん遊・小里んの対談が掲載されている。おそらくは本書の刊行と連動した企画だろう。当事者が過去を振り返る言葉と当時の記録とを読み比べると、また違った感興が湧いてくるはずである。

 私事になるが、まったく落語と関係ない場所で寺脇を見たことがある。当時PTA会長だった私が参加した催しに、特別講師として招待されていたのだ。

 寺脇は文科省OBとして、ゆとり教育が批判されているが、あれは本来生涯学習とセットのもので、学校に通う限られた時間だけではなく、一生を通じて学ぶ体制を作るためのものだった、という意味のことを話した。

 落語をずっと聴き続けることも、生涯学習の一つだと言いたいのかもしれないな、などと余計なことを考えながら私はその講演を聴いた。

(以上、敬称略)

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  • 書名 : 若手だった師匠たち 年間1000席の寄席通いノートから
  • 著者 : 寺脇研
  • 出版社 : 東京かわら版
  • 書店発売日 : 2025年8月
  • ISBN : 9784910085647
  • 判型・ページ数 : 新書判・330ページ
  • 定価 : 2,200円(本体2,000円+税10%)

(毎月19日頃、掲載予定)