2025年12月の最前線【前編】 (「イベントスペース鈴丸」オープン、講談のオススメ入門書③)
「講談最前線」 第12回
- 講談
- Books
瀧口 雅仁
2025/12/15
東京から神田松鯉も駆けつけた「イベントスペース鈴丸」のオープニング(南鈴・提供)
講談はいつも面白い。そして講談はいつも新しい――。講談の魅力って? 講談ってどこで聴けるの? どんな講釈師がどんな講談を読んでいるの?と、それにお応えするべく、注目したい講釈師や会の情報、そして聴講記……と、講談界の「今」を追い掛けていきます。(2025年12月の前編/後編のうちの前編)
小屋がなければ、芸は育たない
東京での公演活動の目下の課題は、「適したハコが少ない」。つまり「演じやすい劇場や小屋の数が少ない」ということである。講談や落語であれば、国立劇場演芸場の閉鎖を筆頭に、長年親しまれてきた収容人数80人規模のお江戸日本橋亭の閉場の影響も大きい。
当たり前の話ではあるが、ハコが大きければ借り賃も高く、集客力も必要になる。営業努力をもってすれば、そのあたりは解決に向かおうが、芝居や演劇ならいざ知らず、果たして数百人規模の小屋が諸芸に向いているのかという疑問も残らないではない。
話芸はやはり、生声で、演者の表情や所作が身近で確かな形で見ることができて、演者も聴き手の反応を直に感じることができるのが芸の上達にとっては必須とも言える。近年、若手から超のつくベテランまで、規模は小さいが、志は大きな会を各小屋で開催しているのは、そういう理由もあろう。
東京では、「らくごカフェ」(千代田区神田神保町)、「梶原いろは亭」(北区上中里)、「アートスペース兜座」(中央区日本橋兜町)、不遜ではあるが、「向じま墨亭」(墨田区東向島)もそうした適したハコの一つに入るだろう。
それは大阪も同じで、今や50名を超えようとする上方講談界において、定期的、かつ継続的に公演できるハコの確保は演者にとっての大きな課題になっている。定席に近い小屋としては、「此花千鳥亭」(大阪市此花区)があり、席亭の旭堂小南陵が連日公演を行っているが、大阪の複雑な関係にある講談界の事情から、今はフリーで活動している旭堂小南陵本人と、やはりフリーの旭堂南龍、そして小南陵がかつて所属していた大阪講談協会員を中心としたラインナップであるのが現状と言える。
他にも貸し小屋としては、玉造にある「百年長屋」(大阪市東成区)もあり、なみはや講談会が積極的に興行を打っているが、落語家や浪曲師も独演会等を開いており、毎日、開催できる訳ではない。
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