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2026年2月のつれづれ(沢村豊子を偲ぶ会、玉川奈々福の徹底天保水滸伝、帯広浪曲学校)

月刊「浪曲つれづれ」 第10回

弟子たちを照らし続ける

 勝千代に続き、玉川奈々福が広沢美舟と共に舞台に上がる。外題はまさかの「豊子と奈々福浪花節更紗」だ。

 この演目は奈々福が23年來の相三味線であった豊子との思い出を綴ったエッセイ浪曲で、語られる本人である沢村豊子が弾くことに意味があった。だからもう舞台で聴くことはないかと思っていた。まさかの復活、奈々福は美舟に思いを託したのだろう。

 終盤近く、奈々福は豊子がたくさんの弟子を育てたことを地の声で語り、天に向かって「お師匠さん、いっぱいの宝物をありがとう」と感謝の意を告げた。「美舟ちゃん、最後頑張ろう」と声を掛けてから最後の節に入る。ここは豊子と奈々福の絆を噛みしめながら何度も聴いてきた箇所だ。その豊子はもういないが、美舟が懸命に音を再現している。

 トリは一番弟子の沢村さくらが、相三味線の真山隼人を弾く。さくらは弟子たちの中で唯一、豊子の相三味線であった国友忠の指導を受けている。本来であれば国友作品を演じるべきであるが、と隼人は断り、浪曲師と曲師の二人で作り上げていく姿勢こそが沢村豊子イズムだと思う、と言って渾身の「南部坂雪の別れ」を演じた。

 最後にはボーナストラックとして、国友忠と沢村豊子が演じる「槍の剛八」映像が流された。このとき、豊子はまだ40代、掛け声も若いが、軽やかに聴こえる三味線はたしかにあの沢村豊子であった。そして同じ絃の音を、弟子たちの三味線からも聴くことができた。

 改めていい会であったと思う。至宝は巨星として天に輝き、弟子たちを照らし続ける。