講談界を駆ける一鶴イズムの継承者 田辺銀冶(後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第26回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/02/05
現在の師匠であり、母である田辺鶴英と。2025年5月「母娘会」にて(撮影・ヤナガワゴーッ!)
一時期、絶滅危惧種とまで言われるも、現在、東西合わせて120名を超えるまでになった講釈師。江戸から明治、大正、昭和と、主に男性が読み継いできた芸であったが、平成、令和と時代を経て、女性目線による女性の講談が世に送り出されてきた。その時、講釈師は何を考え、何を読んできたのか。第一線で活躍する女性講釈師に尋ねてみた。〈田辺銀冶(たなべぎんや)先生の前編/中編/後編のうちの後編〉
古典の面白さ、その核心
―― 今、連続で『新吉原百人斬り』を読んでいますが、手応えはいかがですか。
銀冶 「伝承の会」がきっかけなんですが、(宝井)琴梅先生にお稽古をつけていただけるようになって、『は組小町』といった話といくつかいただきました。そうしていたら「あなたに合いそうな話があるから来なさい」と言われて、教えていただいたのが『新吉原百人斬り』でした。
悪い人間が出てくる話は、非日常の世界を描くこともあって面白い。大好きな話なんですが、男の人が主人公で、しかも悪い男性となるとなかなか難しい。もうすぐ読み終わるんですが、この先も読み続けていって、もっとうまくなっていつか十八番になったらいいなぁ。
今、古典の面白さを感じている時なので、『大石妻子別れ』と『新吉原百人斬り』は、私を古典に夢中にさせている話と言えます。
―― 一方で、銀冶さんと言えば、昨年も取材させていただきましたが、「軍談道場」ですね。
銀冶 あれは最初「軍談倶楽部」として始めた会で、「講談は軍談に始まり、軍談に終わる」と話していた一鶴の言葉が頭に刷り込まれていて、ならば講談の神髄に挑もうということで企画した会です。
時期的にコロナ禍にあって、講談を読む場がなくなっていたので、ARTS for the future!(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業)の助成金をもらって始めた会です。

―― 両国の江戸東京博物館のホールで開いた初回に行かせてもらいました。軍談ばかりを聴かせる会というのが珍しく、「講談=修羅場」という考えもあったので、これは行かねばならぬと駆けつけました。
銀冶 軍談倶楽部は4回しかできなかったのですが、出演者の一龍斎貞橘先生と宝井琴鶴先生が「軍談を読む勉強になるから、こういう会続けたいね」と楽屋で話してくださって、「じゃあ、少し形を変えて続けましょうか」という感じで軍談道場が始まりました。来月から、シーズン6が始まります。
―― 昨年は定席でも「軍談ウィーク」を催しました。やはり軍談は読んでいて楽しいですか。
銀冶 好きですし、楽しい。カッコいいじゃないですか軍談って。
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