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街道一の大節分

「マクラになるかも知れない話」 第七回

やってやる

 決意を固めていたところ、節分の日の少し前に仕事が入った。地域の豆まきイベントの司会だ。

 落語を一席務めて、その後、地域の年男・年女の方々と一緒に豆をまいた。お年寄りからお子さんまで幅広い層が参加する、たいへんにアットホームな良いイベントだった。

 その帰り際に担当の方から「ご自宅でもどうぞ」ということで豆をもらった。

 近頃の豆まきは回収がしやすく、かつ回収後、食べやすいということで、殻のままの落花生をまくのだそうで、十数個入った袋をもらった。

 この落花生は、先ほどの「鬼を務める」という私の決意を大きく後押ししてくれた。折よく、こういうものが手に入るということは、天も『しっかりと鬼の役を務めなさい』と言っているように感じた。

 その落花生を台所の戸棚に入れて3日後、節分当日の朝。

 仕事の帰りに鬼の変身セットを買うので、かみさんに上手く合わせるように伝えようとしたところ、落花生がない。おや、確かにこの戸棚に入れたはずだが。かみさんが動かしたかな。

 「ねえ、ここに入れてた落花生は?」
 「おいしかったけど?」

 節分は行われなかった。

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(毎月25日頃、配信予定)

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