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映像思考で編む、新世代講談 田辺一記(前編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第31回

映像思考で編む、新世代講談 田辺一記(前編)

二ツ目昇進時の頃の一記(撮影・ヤナガワゴーッ!、提供・田辺一記)

瀧口 雅仁

執筆者

瀧口 雅仁

執筆者プロフィール

ミステリアスな講釈師の素顔

 寄席に通っていると、気になる芸人がどうしても出てくる。うまい人、変わった人、味わいのある人。今、講談界でそんな一人が田辺一記だ。以前はマッシュルームカットと言えばよいのか、個性的な髪型をしていたが、その頃からどこかミステリアスな雰囲気を漂わせ、普段はどんなことを考えているのか等々、そんなことを気にさせてきた女性講釈師だ。持ちネタも珍しい古典講談のほか、二ツ目昇進後には、これまた独特な新作にも積極的に挑んでいる。そこで今回、思い切って田辺一記にインタビューを試みた。まずは入門前の話から。

一記 はい、元気です。昔から言われるんです。人を不安にさせるって。友達の家にいて、「楽しんでる?」って心配されることもありました。楽しんでるのに(笑)。楽しさを表現できていないんでしょうか。若い時にはキャピキャピしなさいって、よく言われましたが、落ち着いていた方がいい年になって、それなりに見られることも多くなり、良かったです。

一記 鳥の気配をうかがっています。

一記 住んでいるところのすぐそばに川があるので、シジュウカラ、ジョウビタキ、それにカルガモなんかがいて、鳥は飼ったことがないんですが、心惹かれます。

一記 上野茂都(うえのしげと)さんという三味線弾き語りで小唄や端唄をもとにしたオリジナルの歌を唄う方がいらっしゃるのですが、昔の講談界を知っている方で、本牧亭にも通っていたそうで、歌の合間に講談チックと言えばいいのでしょうか、お話を聞かせてくれることがあったんです。

 講談そのものではなくて、永井荷風の作品であったり、(上野さんが)彫刻家でもあるので、ギリシャ神話なんかを話されていました。パワーポイントで画像を見せながら話されることもあり、「ぱわぽい講談」や「彫刻講談」などとご本人が称されていました。それでなんとなく講談を知ったのだと思いますが、講釈師という職業があることまでは知らなかったんです。後々になって私と同年代の人もやっているんだということを知りました。