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このあたり 目に見ゆるものは 皆換金

「朝橘目線」 第12回

 セルフレジも当たり前になった。人見知りで、自意識過剰な私にはありがたい。知らない店員さんに「あー、これ買うってことは、今日はお好み焼きなのね」とか思われずに済む。

 うちの近所のスーパーも何年か前、一気にセルフレジを導入した。墨俣一夜城の如くだった。ずらっと並ぶセルフレジ。壮観。そして各レジのそばに、使い方が分からない客をサポートするための、店員さんがずらっと並んでいた。おそらくあの日の営業前、本社の偉い人などが来たりして、アルバイトの方たちを叱咤激励したり、作戦会議があったんだと思うが、みんな笑わずにいられたんだろうか。私だったらずっと変な顔になっちゃってるだろう。セルフレジ導入の結果、スタッフ増員とは。

 そのスーパー、しょっちゅう割引クーポンを配る。チケットサイズの紙のクーポン。セルフレジ導入直後は、このクーポンをセルフレジで使いたい場合、近くにいる店員さんを呼んでクーポンを入力してもらうという、回りくどいギャグも炸裂していた。最近、それが解消して、自分でクーポンのバーコードをレジにピッとやると割引されるようになった。クーポンだけが頑なに、紙。デジタルとアナログの混ざり具合がとても良い。

 出演料を振り込みで頂戴する、というのもすっかり当たり前になった。そっちの方が多いと思う。調べてないけど。楽屋の師匠連が時折、その手の話題をするが、大概、否定的だ。曰く「働いた実感がない」。まあ、それは分からないこともない。形ある報酬を手にした時の喜びは、何にも代えがたい。

 ほかの意見としては、「その足で飲みに行けない」「仕事終わりで競馬に行けない」「かみさんの目を盗んで一枚くすねることができない」。噺家当人はともかく、その家族のためにはきっと振り込みの方が良い。