NEW

一粒の麦 ~世界に広がれ、落語の輪 in 名古屋!

月刊「シン・道楽亭コラム」 第12回

演芸を愛し、人生を楽しむ人たち

藤井輝代美さん

 続いて藤井輝代美さん。通称「パタ」さんとして知られる、「かがよひ」の常連にして盛り上げ役です。3人の子育てと介護を終え、「これからが自分の人生」とばかりに、ケアマネジャーとして働きながら、チンドン屋、トイレットペーパーの個包装コレクター、さらには薩摩琵琶の弾き語りまでこなす多才ぶり。幼い頃から演芸好きで、現在はなぎら健壱さんに夢中だそうです。

 世話人としての苦労を尋ねれば「儲かりません」と即答しながらも、それでも続ける理由は「好きだから」。演者への賛辞も批評も率直で、その眼差しの真剣さが印象的でした。

チンドン屋として所属する三ヶ根宣伝社

加藤久和さん

 学生時代に落語研究会で活動し、自らも口演経験を重ねてきた方です。最終的には噺家の道には進まず、現在は企業の代表取締役として活躍されていますが、その分、観客としての情熱は衰えることなく、全国各地の落語会へ足を運び続けています。

 好きな演者には幟(のぼり)を贈るなど、応援の仕方も実に粋。音楽やゴルフなど趣味も幅広く、サザンや伊藤蘭さんのライブにも通うという、その軽やかなフットワークには感服するばかりです。

太田克己さん

 「高砂落語会」を7年にわたり継続している実行委員のお一人。幼少期、病弱で家にいる時間が長かった彼にとって、ラジオから流れる落語は格好の娯楽でした。やがて社会人となり一度は離れるものの、春風亭一朝師匠の高座をきっかけに落語熱が再燃。

 現在は、演者選びから会場手配まで担い、今では全国的な人気を誇る演者さんが当時まだ無名だった頃にいち早く名古屋に招いた実績もあり、「こちらではあまり知られていないが、これはイイという演者さんを地元の演芸ファンに聴いてもらいたい」と目を輝かせます。

高砂落語会(Facebook)

重田牧子さん

 名古屋の個人席亭として知られる方で、「はじめ亭しげた」の名を聞けば、頷く方も多いでしょう。東京出身ながら名古屋で活動を始めて約20年。印象的なのは、その飾らない語り口です。成功も失敗も包み隠さず語る姿勢が、結果として演者や観客の信頼を集めているのでしょう。

はじめ亭しげた_名古屋で落語会_寄席

 これからの活動も伺いましたが、その中でもとりわけ素晴らしい試みが、東京の気鋭の二ツ目、柳家小ふねさんと桃月庵黒酒さんのイタリア公演を企画されていること。クラウドファンディングを利用して資金集めを開始、初期の目標を早々に達成されました。名古屋の落語会にとどまらず、落語界全体の活性化にも寄与されている重田さんです。

ローマ・ナポリ・フィレンツェへ落語を。小ふね黒酒イタリア2026