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2026年4月の最前線 【前編】 (講談協会が一般社団法人として始動へ)

「講談最前線」 第16回

2026年4月の最前線 【前編】 (講談協会が一般社団法人として始動へ)

左から一龍斎春水事務局長、宝井琴調会長、神田香織副会長

瀧口 雅仁

執筆者

瀧口 雅仁

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 講談はいつも面白い。そして講談はいつも新しい――。講談の魅力って? 講談ってどこで聴けるの? どんな講釈師がどんな講談を読んでいるの?と、それにお応えするべく、注目したい講釈師や会の情報、そして聴講記……と、講談界の「今」を追い掛けていきます。

法人化で動き出す講談協会の新章

 年度替わりの春は、やはり世の中の仕組みが動くもの。昨年、講談協会は一般社団法人化に踏み切り、3月に行われた「講談伝承の会」でも宝井琴調会長が連日、口上の形を借り、その報告を行ったが、4月1日、この日から「一般社団法人 講談協会」として始動することが、毎月の定席が行われている四谷・津の守での記者会見の場で改めて発表された。

 まずは、昨年より事務局長を務めている一龍斎春水による司会進行の挨拶にはじまり、今回の経緯について琴調会長より説明があった。抜粋すると、次のような内容である。

 「講談協会では、一龍斎貞水先生がご存命の20年以上前から法人化の議論や勉強会を開催してきましたが、法人化することの意味が見出せなかったことなどもあり、なかなか先へ進まなかったのが実情でした。

 ところがコロナの時に任意団体の危うい位置が見えてきました。その時には、協会は演芸連合に属しており、演芸連合は芸団協に所属していたことから、コロナを乗り切ることができましたが、ほかの協会等で法人化が進んできていることもあり、話を聞くと、例えば、若手が住む所を借りるために不動産会社へ行っても、職業を聞かれた時に、任意団体であるとなかなか理解してもらえずに借りることができない。また、お子さんを保育所に入れる際にも、任意団体であると責任的に弱いといったことを耳にしてきました。

 そこで若手のためにもなり、若手が胸を張って活動できるようにしたいという思い、さらに多様化するエンターテインメント界の中で、攻めの姿勢で次世代につなげようと、事務方の苦労もありましたが、昨年10月に一般社団法人として登記をし、4月1日付で一般社団法人として本格的に始動することにしました」

育成強化へ舵を切る協会の方針

 続いて、これからの協会としての活動計画に関して、副会長の神田香織から説明があった。

 「最近、おかげさまで若手が増えてきているので、協会としても今後は若手育成に力を尽くしたい。そのために活躍の場所を増やしていくのとともに、SNS等も活用して、その活動を広く知っていただきたい。それはまた、各地域の活動にも広がります。

 私も福島で8年間暮らしていた時に感じたことなのですが、そこからまた新しい講談が生まれる可能性があり、そうした活動を全国に広げていくこともできます。あわせて老若男女に楽しんでもらえる活動にも積極的に取り組んでいく所存です。

 現在も次の世代を作るべく『前座勉強会』を開催していますが、今年度は講談まつりに、夏には怪談を披露する講談特選会といったイベントなどを企画しています。お亡くなりになった貞水先生が『古典の伝承と新作を作っていくのが講談の両輪だよ』と仰っていたのを胸に、講談に興味を持っていただける人が増え、私も講談をやってみたいという人が増えていく。その下地を作っていく動きを目指したいと思っております」

 さらに琴調会長はそれを補足する形で、次のように述べた。

 「今、若手が新作を作る力をつけてきているので、協会としても応援していきたい。協会が前進していく時に、若手の意見も重要なので、色々な意見を取り込んでいきたいと思っている。

 また、落語に落語作家がいるように、講談も最近は台本を書いてみたいという人も増えてきているので、そういう人のお力もお借りして、隠れた地方の話や人物、そうしたものを掘り起こし、新しい講談を作っていきたい。そうすれば、そのゆかりの土地で作った講談で披露することができ、講談を広めることができると考えています」