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浪曲進化論

東家一太郎の「浪曲案内 連続読み」 第2回

浪曲師、『種の起源』に挑む!

 浪曲作りのために、ダーウィンのミミズの本や進化論についての本を何冊か読みました。私は完全文系人間。生物のテストで0点を取ったこともあります! 本当ですよ。エッヘン!

 そんな人間でも、浪曲のためと思ったら、何の苦もなく、いとひもせずに理系の本を勉強できるのですから「好きこそ物の上手なれ」とは、よくぞ言ったり、です。

 ダーウィンの進化論は「生存競争」と「自然淘汰」により、生物が枝分かれしていったという内容。それを説いた『種の起源』という本にはダーウィンが描いた「生命の樹」という図が載っています。

 生存と繁殖のために競い合った結果、環境に適応している個体だけが子孫を残す。それが1,000世代ごとにどんどん枝分かれしていく。図を見ていると、地球規模のスケールの大きさに気が遠くなります。

 進化論はよく誤解されやすいのですが、「いま、残っている生物が偉い!」とか、「進化して来たから高等なんだ!」とか、そういう次元の話ではなくて、「この時には、これだけの多様な生物がいました。それが枝分かれして来て、いまこれだけの多様な生物がいますよ」という説です。

 どうしても、良い悪いという人間の価値観で決めがちですけれども、競争に生き残れず絶滅した種をおとしめるわけでも、生き残った種を讃えているわけでもないのです。生き残った種も1,000世代後には消滅しているかも知れません。

 進化論を学びながら、自然とこれを浪曲に当てはめて考えました。