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講談への情熱は今も変わらず 一龍斎貞寿(前編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」第8回
- 講談
一龍斎の伝統と教えの継承
貞寿にとって大師匠に当たる六代目一龍斎貞丈(1928~2003)は、昭和の名人の一人に数えられる五代目貞丈(1906~1968)の実息である。落語協会にも属し、都内の落語色物定席の高座にも上がり、講談協会の会長を務めていた。弟子には一龍斎貞花と貞心の二人がいる。2002年に講談界初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された一龍斎貞水は、五代目貞丈の弟子であり、五代目の弟子には六代目貞丈、貞水のほかに、戦後のメディア界で名を売り、のちに参議院議員にもなった一龍斎貞鳳(ていほう)がいる。
そんな講談界の中心にあるべき「一龍斎貞丈」という名前を寄席で見られなくなって久しい。六代目の孫弟子である貞寿に貞丈という名前をどう考えているのか。踏み込んで尋ねてみた。
――師匠である貞心先生や一龍斎の他の先生方からも色々なことを教わっているかと思います。貞寿さんにとって、これはという教えはありますか。
貞寿 前座時代、一番最初に言われたのは、「楽屋では空気になれ。存在感を示すな」。まだ女性が歓迎されていない雰囲気がありましたし、コンプライアンスなんてない時代ですから、楽屋は今よりもはるかに緊張感のある場所でした。でも、一龍斎の先生方は、厳しいけれども、何がダメだったかをちゃんと教えてくださる。また、できるようになるとちゃんと認めてくださるのが嬉しくて、それが励みとなり、頑張りました。
先生方からいただいた教えは色々ありますが、真打になった今、一番心に刻んでいるのは「露は下に落とせ」という言葉です。沢山の先輩方からいただいた教えを後輩へ伝えること。先輩からしてもらって嬉しかったことを、今度は私が後輩へしてあげること。それが、先輩方へのご恩返しになる。この言葉は生涯大事にしたいと思っています。

(以上、敬称略)
▼講談師 一龍斎貞寿オフィシャルブログ
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▼9/24・25「貞花・貞心兄弟会~広小路亭講談界特別企画公演」お江戸上野広小路亭
(中編に続く)