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講談への情熱は今も変わらず 一龍斎貞寿(中編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」第9回
- 講談
まだまだ続く挑戦
――『錦の舞衣』は柳家喬太郎師匠との競演でもかけました。
貞寿 『錦の舞衣』を勧めてくださったのが喬太郎師匠だったので、何とか師匠の前で読んで、恥ずかしくない『舞衣』にしないといけない、と必死でした。(2023年11月に)座・高円寺で通し公演をさせていただいた時は、ガッツリ師匠の胸をお借りましたが、あれほど緊張し、苦労した会は他にありません。あまりに大変すぎて、会の記憶が飛んでいるくらいです。基本的には「もう二度とやりたくない」と思ってしまうくらい大変でしたが、もしかしたら、痛みを忘れた頃にまた読みたい、と思うかもしれません。

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『錦の舞衣』は三遊亭圓朝がプッチーニの歌劇『トスカ』を翻案した作品で、絵師の狩野鞠信と舞踊の名手坂東須賀を巡る恋の行方に起こる仇討物語であり、貞寿がそれを講談化したと言えよう。
――貞心先生がここぞ!という時に聞かせる『玉菊燈籠(たまぎくとうろう)』。その前段に当たる『五福屋政談』といった話も読んでいました。
貞寿 師匠が『玉菊』をやるので、それならば、師匠の前で読む機会があるかもしれない!と、私が前段を古い講談本から起こして覚えたのに、師匠は一度も一緒にやってくれないんですよ! いつか、師匠が読むという時には、音響効果を考えたりしながら、ご一緒できればいいなと思っています。
――では、これから読んでいきたい講談を教えてください。
貞寿 まず、師匠の持っていらっしゃる話を受け継ぐ、これが最優先だと思っています。8割くらいはすでに教わっているのですが、後輩たちにも師匠の形で伝えられるように、しっかり勉強していきたいです。
一門以外の話だと、『清水次郎長伝』も勉強したい。私、小金井芦州先生の侠客伝が大好きなんです。講談好きなら嫌いな人はいないのではないでしょうか。でも私の口調は侠客に合わないそうで、(神田)愛山先生からも「口調がどうしても一龍斎になってしまう」と言われました。「講談師は、義士伝と次郎長ができて初めて一人前」と愛山先生もおっしゃっていたので、あきらめることなく、何とか先生にお願いして、次郎長伝を教わりたいと思っています。
(以上、敬称略)
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▼9/24・25「貞花・貞心兄弟会~広小路亭講談界特別企画公演」お江戸上野広小路亭
(後編に続く)