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かたばみ日記 令和7年 夏

三遊亭司の「二藍の文箱」 第4回

かたばみ日記 令和7年 夏

パナマと雪駄、夏の相棒(画:ひびのさなこ)

三遊亭 司

執筆者

三遊亭 司

執筆者プロフィール

7月中旬 ~梅雨、再開、選挙

7月18日 金曜日

 帳尻をあわせたように、三~四日雨が続いての梅雨明け。7月のあたまから、梅雨前線が消えていたのに、また下りてきた。ああ、暑い時期が長い。

 16時前、LINEに見慣れぬ英語のメッセージを受信する。どうせ、怪しげな何かかと思ったら、5年前にふらりと行きつけの飲み屋にあらわれた、シカゴからの留学生キーランからだった。自慢じゃないが、中学生英語の読解ですらあやしいが、なんでも「東京に来ていて、今夜その飲み屋に行く予定で、もし時間があれば会えたら嬉しい」みたいに書いてあった。なので急遽、夜の予定を変えてもらう。

 5年前、21歳だった青年はすっかり大人になっていて、ロサンゼルスで映画制作の仕事をしているそうだ。先に店に着くと、店主はなにも知らないようだから黙ってた。5年ぶりにあらわれたキーランに、それこそハリウッド映画に出てくる子どものように、目を丸くさせて涙ぐんでた。

 こんな悪戯なら、悪くはない。

7月20日 日曜日

 朝一、投票。確実に行ける日は期日前投票でなく、指定された投票所で投票する。そのほうが気分が出るから。

 13時、深川江戸資料館、14時開演。常設展示室、要はフリースペースでの高座。演り慣れた『湯屋番』に入るが、考えてみると、マクラからなかなかはまらず、ニーズが読めないまま。途中、間を変えたり、声を変えたり。博打で言う「追い目」というやつ。こうなるともういけない。

 帰りに日本橋とやま館に寄り、富山の酒をいくつか。5月に特急ひだで飲んだ、若鶴酒造のitonamiと再会。富山で出会った酒を、飛騨路で飲み、江戸のまん真ん中の日本橋で再び会う。

 帰宅後、宅配のピザを食べながら開票特番。選挙は祭りだ。支持政党関係なく、いつか、みんなで開票特番など見ながらわいわい飲めればいいのに。一番身近な生活のことだよ、政治は。選挙のことで連絡がきたのは、林家たけ平のみ。わくわくしないのかな。